内容説明
柳田国男の民俗学を全国的な民間学に組織し、同時にマルクス主義者であり、画家でもあった橋浦泰雄。戦後、いち早く生活協同組合を創った人でもある。信州に散在する道祖神の広がりを調べ、五島の珍しい正月行事を記録し、初めて、太地町の捕鯨史を明らかにした。歴史上の様々な場面に顔をのぞかせるが、その全体像が描かれることはなかった。こんな忘れられた一人の日本人に迫る。橋浦家に残された柳田や作家・尾崎翠などからの膨大な手紙をひもときながら、橋浦の足跡をたどる異色なノンフィクション。
目次
第1部 組織者の形成(橋浦家の人々;郷党の仲間たち;彷徨と邂逅 ほか)
第2部 橋浦泰雄の民俗学(柳田国男との出会い;学界対立のはざまで;ナップ結成 ほか)
第3部 戦後の活動(戦後共産党員として;実践的民俗学の試み;後景にしりぞく)