内容説明
革命と戦争、全体主義の嵐が吹き荒れた20世紀。ハンナ・アーレント(1906‐75)は過酷な時代のなかで、公共性と人間の自由を問いつづけた。本書はこの卓越した政治哲学者の全体像を初めて明らかにした決定版評伝である。アーレントはユダヤ人としてドイツに生まれた。ナチスの迫害を逃れフランスに出国、アメリカに亡命する。ハイデッガーとの秘められた恋。スパルタクス団の元闘士との結婚。アイヒマン論争。ベンヤミン、ブレヒト、シューレム、オーデン、メアリー・マッカーシーらとの熱いやりとり。老年について。「誠実こそ真理のしるし」―師ヤスパースの言葉を身をもって生きた生涯。諸著作の根底にあるアーレントの“精神の生活”が、未発表をふくむ膨大な資料、可能なかぎりの関係者へのインタヴューによってよみがえる。本書はアルフレッド・ハーコート賞を受賞、絶賛を博した。
目次
第1部 1906‐1933(ケーニヒスベルクの少女時代(1906‐1924)
ワイマールの大学生(1924‐1929)
あるユダヤ人女性の生涯(1929‐1933))
第2部 1933‐1951(パリの無国籍人(1933‐1941)
ニューヨーク―誠実は真理の徴(1941‐1948)
公的な生活のなかの私的な顔(1948‐1951))
第3部 1951‐1965(世界に安らぎを求めて(1951‐1961)
イェルサレムのアイヒマン(1961‐1965))
第4部 1965‐1975(暗い時代のアメリカ(1965‐1970)
もう、そしてまだ―『精神の生活』(1970‐1975))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご
12
今年はアレントを発見した年でした。そんなわけで年末に大部の伝記を読んでみました。ライフストーリーとしては非常に綿密精細で、そこも大きな魅力ですが、評伝としても大変、綿密な読みがあって、教えられるところ大。アレント・ビギナーにはお奨めしませんが、彼女の知的誠実さやひたむきさ、適度な意地の悪さみたいな楽しみを味わった方なら学ぶところは大きいと思います。2024/12/28
ア
3
アーレントについての、教え子による伝記。彼女の幼少期の経験から、詩的関心、政治的経験、交友関係、ユダヤ性、諸論争、情事、苦悩、公的と私的、晩年の孤独など、様々な面について描かれている。訳者があとがきで述べているように、アーレントの生涯の“精神の生活”についての優れた伝記的理解の著作だといえよう。2017/03/29
ヨンデル
0
昔読んだ本です、整理のため登録しています。2024/07/02