人間というこわれやすい種

人間というこわれやすい種

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794962720
  • NDC分類 490.4
  • Cコード C0047

内容説明

この地上に現われた生物として、人間は最も若く、未熟で、こわれやすい種なのだ。―37億年前に生まれたバクテリアが人間になるまでの生命の不思議ないとなみに魅せられ、細胞から大宇宙までを視野におさめる医学者が、地球という生命体と人間の姿を、「共生」の視点から描きだす。ガンやエイズ、老化のしくみ、環境破壊や核兵器の使用が地球におよぼす影響をめぐる考察など、人間の未来への危惧、そして信頼をこめた、トマス博士の最後のエッセイ集。

目次

バクテリアが人間になるまで
医学のいまとむかし
人間というこわれやすい種
脳と快楽
エイズ―現代のペスト
エイズと薬物中毒がはらむ危機
正常な老化のしくみ
医学と公正さ
飼い猫ジェフリーのかたわらで
地球にとって健康とは
核戦争がもたらすもの
共生する世界
言語はどのように生まれたか
思考する星

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

g750

6
内科医の著者が書いたエッセイ。医学や国家の現状に憂いつつも、抗生剤や抗がん剤の発展とともに医者の道を歩んだからでしょうかか、それとも科学者としての気質からでしょうか、意外と楽観的な態度で書かれていました。視点をいくつも持っていて、特に地球の46億年の歴史からの視点は壮大でした。生物学についてももちろん造詣が深く、ダーヴィンの適者生存を軸とした進化論からの、生物の共生・協力・システムについての考察なども興味深く読ませていただきました。2019/10/03

R As Well

4
非常に面白かった。「これは何の本か?」と尋ねられたとしたら、「人間という種の来し方についていくつかの観点から振り返り、これから何をすべきか驚くほど具体的な提言を試みた本」と答えたい。ちっぽけなバクテリアであった我々が現代に生きる「人間」に至るまでの来し方をつぶさに、先入観なしに、様々な観点から振り返ることが、人間という種の捉え方をここまで塗り替えるものかという驚きがあった。著者であるルイス・トマスについては、スーザン・ソンタグが「アメリカきっての知性」と評したらしい。博識で聡明、うなずける評価である。2018/07/09

Bartleby

3
正直に言うと、人間やそのほかの生命を衝き動かしているのが、役に立ちたいという気持ちや協力への衝動だという著者の主張に完全には乗り切れないところがある。でも生命について軽妙に語る文章を読んでいるとその主張にちょっとだけリアリティが感じられるような気もする。記憶というのはその多くが他人から見聞きしたメタ記憶であることや、人間は弱くこわれやすい種であること、生物は短期的に見れば競争しているように見えるが長期的にみれば共生していることなど大事な視点も多いように思いました。2011/10/14

鴨長石

2
西洋人が「自然との共生」の考えにたどり着くのは珍しいのではないか。ルイス・トマスはさらに踏み込んで、「ヒトを衝き動かしているのは役に立ちたいという衝動」とまで言っている。これが科学的に正しいのかわからない。しかし、もしそうならこの世界は驚異的に美しい。2020/06/22

一階堂

2
古い本だけれど、面白く読めた。大きなシステムは、いわゆる『心』を持っているように思えないだろうか、とか、協力こそがより根本的なものとしてないだろうか、とか、興味深いテーマが多く入っていた。人間はまだ歴史の浅い種で、これから成長してゆくだろうという、前向きな姿勢(楽観的な姿勢でないことは明らかになる)も良いと思った。2015/04/11

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