内容説明
環境、平等、援助、貧困など、その意味を疑われることのない19のキイワードのもつ矛盾と中毒性を洗い出し、私たちの思考の意識されない構造を明らかにする。脱「開発」の時代を考えようとすれば、その構造を乗り越える必要があるからである。本書は「開発の時代」を終わらせるための「力としての知のガイド」がある。
目次
開発
環境
平等
援助
市場
ニーズ
単一の世界
参加
計画
人口
貧困
生産
進歩
資源
科学
社会主義
生活水準
国家
技術
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mealla0v0
7
原題は「開発辞典」。本書で批判的に取り上げられる開発は、第2次世界大戦後にトルーマン米大統領が米国の優位の下に戦後秩序を構築するために行われた戦略であり、よりスマートに世界を均質化させる効果を持っていたと位置づけられる。開発の発明とはなによりも「低開発の開発」であり、「進歩」へと向かう欲望を醸成し、「計画」を立て、低開発国に「参加」を呼びかけ、それを先進国は利益に沿う限りで「援助」するという形で、先進国は自らの持続性を確保しようとしている。特に「開発」と「計画」の章がおもしろい。2023/01/08