- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
内容説明
「ぼくは、まちがって生まれた子だ。ぼくは誰にも愛されない…」ヤーンは幼い日々を祖父母のもとで育った。ともにノーベル賞を受賞した高名な両親はいつも多忙で、幼い心のゆらぎを理解できない。孤独な子と、「問題児」のレッテルをはる親との間に、いつしか見えない溝が刻まれた。早熟な少年は大人たちの欺瞞を鋭く見抜き、自分だけの秘密の世界を紡ぎだしていく。運河での氷とび。農場で遊んだ夏。祖父の死。忘れえぬ少女。―スウェーデンの静澄な風光を背景に、自意識や性のめばえ、少年の成長をみずみずしく綴る自伝小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
115
あまり読む機会のないスウェーデンの小説。作者の少年時代が繊細な筆致で描かれる。題名が示すとおりに、両親から愛されなかった子供の物語だ。時折50代になった主人公の視点が挿入されて、子供の時に受けた心の傷が大人になっても蘇ることが書かれている。それでも彼には救いがあった。祖父が愛情を持って接してくれたし、想像力が豊かだったので、自分の作りだした空想の世界で遊ぶことができた。重たい話だが、空想と現実が入り混じった子供の頃のあの不思議な感覚を蘇らせてくれる力がある。2017/09/19
すむるとろん
0
邦題は少し露骨過ぎる気が。子供の頃のことは、すごく細かな部分を鮮明に覚えていることがあり、そういうのを紡いで出来た本かも知れない。著者だけでなくご両親が素晴らし過ぎる経歴なのだが、キャリアと家庭は全く別物なのだなあと思う。親に分かってもらえないというのは子供の自己形成の第一歩なんだろうか。本筋は関係ないが、当時のスウェーデンの政治を垣間見れたのも興味深かった。こういう本が子供達に無料配布されるスウェーデンの教育のあり方も。著者のストリンドバリへの熱っぽい評価に触れ、さらに読もうという気にもなった。2013/08/08