内容説明
『戦中篇』は悪しき時代と直面したロッパの闘争の記録。正面の敵は大日本帝国の強大な国家権力。ロッパは憤る。なぜ喜劇がこれほど目の仇にされるのか?それは喜劇が笑いを通して人間性を解放するからである。エッセイ集として名高い『悲食記』は昭和十九年の日記を中心に構成されたが、この戦中編はいわば一冊まるごとの悲食記。連日の空襲、自宅の焼失、疎開する家族との別れ…芝居だけを心の支えに苦境をしのぐロッパの姿が胸に迫る。また、本書では、ロッパと菊田一夫の確執も浮彫りにされる。二人の演劇観の差は現代の大衆演劇においても重要な問題を投げかける。
目次
昭和十六年
昭和十七年
昭和十八年
昭和十九年
昭和二十年(七月二十七日迄)
著者等紹介
古川ロッパ[フルカワロッパ]
本名・古川郁郎。明治36年8月13日、東京麹町に、元貴族院議員、加藤照麿男爵の六男として誕生。古川家の養子となる。早稲田第一高等学院在学中から、「古川緑波」の筆名で映画雑誌に評論を投稿。大正13年早稲田大学英文科入学。同年、菊池寛に招かれて、文藝春秋の「映画時代」の編集にあたる。大正15年、徳川夢声が活動弁士を糾合して催した「ナヤマシ会」にアマチュアとして出演、声帯模写で絶讃を浴びる。昭和6年、東京日日新聞の嘱託となり、レビュー、映画評を執筆。昭和8年、徳川夢声らと浅草で劇団「笑の王国」を旗挙げ。興行は大当りをとり、エノケンと並ぶ喜劇界のトップスターに躍り出た。昭和10年、「笑の王国」を脱退、東宝に入り、有楽座、日劇を中心に活躍。「ガラマサどん」「歌ふ弥次喜多・東海道小唄道中」などに出演、一気に日本喜劇界の頂点へと飛翔した。12月から「東宝ヴァラエティ・古川ロッパ一座」の座長となる。戦後も数々の演劇、映画のほか、NHK放送劇「さくらんぼ大将」に出演。読書家、健啖家として知られ、『劇書ノート』『悲食記』等の著作を残す。昭和36年1月16日没
滝大作[タキダイサク]
1933年東京生まれ。NHKの芸能ディレクターを経て、現在も第一線で数々のステージ、番組を手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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