内容説明
「もし神がいるのなら、おれを殺してみろ!」無神論者の作家が講演中に叫んだ次の瞬間、一発の銃弾がその胸を貫いた。逮捕された犯人はただ「声」に命じられたと繰り返すのみ。名無しの男に対する擁護運動が盛り上がるなか、現場に居合わせたミラード神父は事件の調査委員長にまつりあげられてしまう。しかし、全国から寄せられた手紙の一通に男が異様な表情をみせたとき、神父の胸に恐ろしい疑惑が芽生え始める。その手紙にはただ一言、「助けて!」と書かれていた…。信仰と真実の相剋という問題に真正面から取り組んだ異色中篇「誰でもない男の裁判」、殺人事件に巻き込まれた詩人探偵がブレイクの詩から真相に到達する「虎よ!虎よ!」、ふとしたはずみで娘の可愛がっていた猫を殺してしまった牧師の苦悩を描いて、殺人事件以上の衝撃をもたらす「黒い小猫」など、EQMMコンテスト入選作を中心に、エラリイ・クイーン絶賛の異才A・H・Z・カーの傑作全8篇を収録。
著者等紹介
カー,A.H.Z.[カー,A.H.Z.][Carr,A.H.Z.]
1902‐71年。アメリカの作家・政治経済学者。F.D.ローズヴェルト、トルーマン大統領の補佐官をつとめ、実業界でも大きな成功を収めた。ミステリ作家としては、1950‐60年代に〈EQMM〉誌に発表した短篇で高い評価を獲得、『妖術師の島』(71)でMWA最優秀第一長篇賞を受賞した。他に政治・経済関係の多くの著作がある
田中融二[タナカユウジ]
一橋大学卒業。日本新聞協会、プレジデント社を経て翻訳家
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感想・レビュー
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