晶文社ミステリ
誰でもない男の裁判

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794927422
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

「もし神がいるのなら、おれを殺してみろ!」無神論者の作家が講演中に叫んだ次の瞬間、一発の銃弾がその胸を貫いた。逮捕された犯人はただ「声」に命じられたと繰り返すのみ。名無しの男に対する擁護運動が盛り上がるなか、現場に居合わせたミラード神父は事件の調査委員長にまつりあげられてしまう。しかし、全国から寄せられた手紙の一通に男が異様な表情をみせたとき、神父の胸に恐ろしい疑惑が芽生え始める。その手紙にはただ一言、「助けて!」と書かれていた…。信仰と真実の相剋という問題に真正面から取り組んだ異色中篇「誰でもない男の裁判」、殺人事件に巻き込まれた詩人探偵がブレイクの詩から真相に到達する「虎よ!虎よ!」、ふとしたはずみで娘の可愛がっていた猫を殺してしまった牧師の苦悩を描いて、殺人事件以上の衝撃をもたらす「黒い小猫」など、EQMMコンテスト入選作を中心に、エラリイ・クイーン絶賛の異才A・H・Z・カーの傑作全8篇を収録。

著者等紹介

カー,A.H.Z.[カー,A.H.Z.][Carr,A.H.Z.]
1902‐71年。アメリカの作家・政治経済学者。F.D.ローズヴェルト、トルーマン大統領の補佐官をつとめ、実業界でも大きな成功を収めた。ミステリ作家としては、1950‐60年代に〈EQMM〉誌に発表した短篇で高い評価を獲得、『妖術師の島』(71)でMWA最優秀第一長篇賞を受賞した。他に政治・経済関係の多くの著作がある

田中融二[タナカユウジ]
一橋大学卒業。日本新聞協会、プレジデント社を経て翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

86
「黒い小猫」別名猫踏んじゃった事件「姓名判断殺人事件」語り手のスウはクレイグ・ライスの小説に出てきそうなヒロイン「ティモシー・マークルの選択」辛いリドルストーリー。表題作や「市庁舎の殺人」はミステリとして面白い。2017/09/01

空猫

38
古典名作シリーズ。最初の2編『黒い子猫』『虎よ!虎よ!』でハズレかと思いきや後は楽しめた。宗教、群衆心理、噂、、の怖さ『誰でもない男の裁判』。猫好きならは胸キュン『猫さがし』。叙情トリックの粋『市庁舎の殺人』。騙されてるって『ジメルマンのソース』。オチはこれ!?正義と現実『ティモシー・マークルの選択』。「Sue Tyson」の名から「 nosey」を見つける占いは日本じゃムリだな『姓名判断殺人事件』。など(ほとんど)がお気に入り。バラエティに富んでいてとても楽しかった。 2022/01/22

藤月はな(灯れ松明の火)

32
ブレイク、またはベスターを連想させる「虎よ!虎よ!」の仔羊の肉は矢張り、HANNIBALでもお馴染みのアレだよね…。「猫探し」のファンシーなラヴストーリーに癒されつつも「市庁舎の殺人」の最後の言葉に切なくなります。「ジメルマンのソース」は滅茶苦茶、怪し過ぎる男のホラ話に「その男は信じちゃ、アカン!」ってツッコミまくりwしかし、「ティモシー・マークルの選択」は個人と集団の正義は一致しないことで生じる選択の苦さが胸に突き刺さります。一方、「姓名判断殺人」での赤毛で聡明、でも気性が荒いと自覚しているスウが素敵。2016/01/26

本木英朗

26
オビに山口雅也の「実現した夢のミステリ短編集」という言葉が載っているのが目につくが、それもそのはず、この作者の短編集は世界で初めて出されたものだそうだ。全部で八つの作品が掲載されている。冒頭に配されたのは、『黄金の13』にも収録されている名品「黒い子猫」。まったく内容を忘れたままに読んだので、最後までハラハラした。話の持って行き方が実に上手い。

本木英朗

16
アメリカの本格ミステリ作家のひとりである、A・H・Z・カーの、日本独自の短編集である。俺は2004年に一度、東京で読んでいた。「もし神がいるのなら、俺を殺してみろ!」  無神論者の作家が講演中に叫んだ次の瞬間、一発の銃声がその胸を貫いた。逮捕された犯人はただ「声」に命じられたと繰り返すのみ。名無しの男に対する擁護運動が盛り上がる中、現場に居合わせたミラード神父は、事件の調査委員長にまつり上げる……という表題作ほか7編を収録。どれもこれも、本当に凄かったかな、ウフフ。さすがは作者であります。(→)2023/10/20

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