内容説明
19世紀ドイツの大歴史家、ノーベル文学賞受賞者であるテオドール・モムゼン。ニーチェの手紙が一大事件を伝える。モムゼンの4万冊の蔵書が火災にあったのだ。その23年後、今度は彼の頭髪にろうそくの火が燃え移ったことから再び蔵書が炎上、モムゼン自身も火傷を負って死亡する。ところが最近になって、なぜかモムゼンの蔵書が次々とイタリアで発見された…。蔵書のミステリアスな流転の謎を、ローマ法学者にして法務大臣もつとめた愛書家が追ったノンフィクション。
目次
燃えた蔵書
失われた蔵書
見つかった本
消えた書店
怠慢な図書館員
恩知らずの相続人
著者等紹介
ディリベルト,オリヴィエーロ[ディリベルト,オリヴィエーロ][Diliberto,Oliviero]
1956年、イタリアのサルデーニャ島カリアリ生まれ。カリアリ大学法学部卒業後、フランクフルト、パリに留学。現在ローマ大学教授。84年から国際政治と移民問題に取り組み、91年、再建共産党創立メンバーとなる。94年初当選。党書記長および党誌「リベラツィオーネ」(解放)の編集長をつとめる。その後、離党、共産主義者党を創立、ダレーマ内閣に参加し、98年から2000年まで法務大臣をつとめた。現在、同党書記長。専門は古代法史
望月紀子[モチズキノリコ]
1941年、青森県生まれ。東京外国語大学卒業
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感想・レビュー
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spatz
9
本文が非常に短く、注や解説の方が長い。論文。著者はローマ法史専門家でイタリアの法務大臣をつとめた。ノーベル賞受賞した歴史家テオドーアモムゼンの著書を巡る探索の物語。著者はウンベルトエーコと親交があるようで、とにかく本が好きな人。火事で多くが焼失したモムゼンの蔵書が意外なところでみつかり、誰の手をどうわたっでどこにいきついたをさまざまな仮説と追求でたどる。執念。モムゼンもローマ史の専門家、ローマ史詳しくないので正直しらない。2021/07/24
うえ
3
元大図書館に勤めていたものとして言わせてもらえれば今の日本の図書館はもうガタガタである。図書館戦争どころではない。とっくに敗戦している。多くの図書館でアルバイトが廃棄権をもち、古典や希書が惜しみ無く廃棄され、大量のポッターや春樹が購入される(無論それらも数年で貸出しがほとんどなくなり廃棄されるのだが)。本好き、が図書館にいるのではなく「ある作家以外全く興味がない」人で図書館は占められつつある。だが悲観はしない。もう私は図書館を利用しなくなって久しいから2013/05/18
ちいくま
2
散逸した蔵書の行方を追う、もしかして推理物?なドキドキ感が楽しめました。一方で本が燃える、という状況を想像するのがイヤで哀しくて。興味深く面白く読み進めていきましたが、本文がすごーく短くて残念。そういえば中学校の図書館とか、蔵書印が押してあったなーと懐かしく思い出しました。今のバーコード付シールって便利なんでしょうけど情緒ないですね…2015/08/29
調“本”薬局問悶堂
1
“愛書家の、愛書家による、愛書家のための本” としか言い様がない。 面白いが、もっと昔の作家に詳しくならないと、 注釈ばかり読まなければいけない。 最後の池田さんのエッセイが面白かった。2005/11/25
at@n
1
本は移動する。貴重な蔵書コレクションを図書館に寄贈しても、戦火に焼かれたり、管理体制が変わったりしたら散逸する。焼かれさえしなければ市場に出て価値のわかる人に発見され適切に管理されるだろう。古書店の重要性がわかる本。2019/09/08