内容説明
地球上の人間はすべて女から生まれる―。そのことは、女を理想化し、母性神話をはびこらせる一方、女が自分自身の生き方を選択する自由を奪ってきた。男中心の社会のなかで、制度化された「母性」がかかえこむあらゆる問題を検討し、産む性としての女のからだとこころを解放する視点をあきらかにする。3人の息子の母としての体験を問いなおし、歴史的文献を緻密に分析して、「あたらしい古典」としていまや世界中で大きなインパクトをもって読みつがれる、リッチのフェミニズム「母性論」の名著。
目次
1 怒りと愛と
2 「聖なる職業」
3 父親たちの王国
4 母親の卓越性
5 家庭に閉じこめられた母性
6 人の手、鉄の手
7 疎んじられる出産
8 母親と息子、女と男
9 母であること、娘であること
10 暴力―闇をかかえる母性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
笠
1
制度としての母性の破壊と新しい母性の創造。外側と内側。母と娘。2021/12/20
すむるとろん
1
ずっと読みたかったのを遂に読めた。自分の立ち位置としてフェミニズムに寄りすぎることに抵抗がある理由に向き合えた気もする。日本という国にあって自分の母親から受けた影響を考え、改めて自己の分裂、自分をマージナルな存在として受け止めざるを得ない苦悩の根源について思いを巡らせながら読んだ。自分自身の生き方、学問的興味、恋愛観や結婚観、全てが「日本人」「女性」であることと分かち難く絡み合って統一体を作っていることを改めて思い知る。出国前に読んどいてよかった。帰国後残りの2冊を読むとき、何かが変わっていたらいいな。2014/08/17
mt
0
潜在能力としての母性と、男性の支配下におくための制度そのものとしての母性2024/09/13