出版社内容情報
イラク最大の港町バスラ。ここの図書館は、本を愛するイラクの人々が集まってくる場所です。2003年、イラクへの侵攻が町に達したとき、一人の女性図書館員のアリアさんは蔵書を守ろうと決意し、3万冊の本を自宅に運びます。アリアさんは今も図書館再建への望みを胸に自宅の戸棚、床、冷蔵庫の中まで本に埋もれながら蔵書を守り続けています。やまねこ翻訳大賞絵本部門受賞。厚生労働省児童福祉文化財選定図書。
◇全国学校図書館協議会選定図書
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
323
作者(絵と文)はニューヨーク在住の絵本作家ジャネット・ウィンター。お話は、戦争の惨禍に見舞われたバスラ(イラク)の町の図書館員であったアリア・ムハンマド・バクルさんが、せっせと自宅に本を避難させて守ったというもの。絵は絵本らしいタッチではあるものの、顔や表情など基本的にはリアリズムのタッチで描かれる。もっとも、絵本とはいうものの、どちらかといえば絵と文で語られるドキュメンタリーといった趣きである。2024/05/24
やすらぎ
203
読みたい本を手にして自由に考え話すことができる幸せを、世界中の人が感じることができたなら。人と人が出会い微笑むときもあれば、争ってしまうときもある。混乱は価値のあるものも失わせる。本を愛するアリアさんの物語。目の前で起こる現実の中で疲弊する気持ちを癒やすため、いずれ訪れる平穏のために一冊でも多く守りたい。その数は3万冊にも及び、安全な場所で静かに眠っている。時代が変わり人々の考えが協調に向かえば、きっと笑顔で本を開くときが来る。そのことを願ってやみません。鮮やかな色合いの絵本が平和への思いを届けてくれる。2023/02/04
パフちゃん@かのん変更
95
本当にあったお話。戦火から図書館の本を守るために司書のアリアさんは図書館の本を自宅などに避難させます。その後図書館は焼け落ち、アリアさんは3万冊の本とともに戦争が終わるのを待っている。本当に、世の中から戦争が無くなればいいのに。日本はこんなことにならないでしょうね。2014/12/07
Willie the Wildcat
82
USの知人からNW Timesのリンクと共に紹介され、次男と共に。歴史的背景を読後に説明。改めて読み直していた・・・。身近な本、図書館。本好きな人であれば、戦争を異なった視点で見ることができるかもしれない。「理屈ではなく、心が人を動かす!」 本好きな自分にとっては、実話故に、なお更心に響く。(送付されたリンクの写真から)実際のBaker氏からも、絵のような温かみを感じる。”望み”は必ず叶うと信じてます!次男も何かを感じてくれた様子。2012/10/20
優花 🍯モグモグ
72
戦争の中、3万冊の本を守ろうとする行動力や、本を守ることで平和を強く願う気持ち。絵本では淡々と描かれているけれど、マリアさんの心情は並大抵ではないことは伝わります。2016/03/26