- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
内容説明
戦争にあえぐ北欧のフィンランド。春への期待に息をひそめている森にも、爆音が響く。虹から舞い降りて迷子になった妖精イルージアは、地上で見るもの聞くものすべてに心奪われ、気づいたときには大切な羽根がなくなっていた。「虹の国に帰りたい…!」涙にくれる可憐な妖精を、不器用だけどありったけのやさしさで慰めたのは森のトロール、ペシだった。無垢なふたりの冒険と、森の生きものたちの生と死のドラマを、透きとおるような美しさで謳いあげたファンタジー文学の傑作。
著者等紹介
コッコ,ユリヨ[コッコ,ユリヨ][Kokko,Yrj¨o]
1903年、現在はロシア共和国内カレリア自治共和国領のソルタヴェラに生まれる。ドイツ、オーストリアなどの大学で獣医学を修めたあと、母国フィンランドの僻村にもどり、獣医を営みながら北極圏の動植物と一体となった生活を送る。『羽根をなくした妖精』の成功により作家として立ち、鋭い自然観察と文明批判に裏打ちされた独自の世界を築く。1977年没
渡部翠[ワタナベミドリ]
中国の大連に生まれる。本書巻末の「ユリヨ・コッコについて」を執筆した夫の高橋静男氏(2002年没)とともに、日本・フィンランド文学協会を設立し、ヘルシンキ大学講師などを経て、『ムーミン童話の百科事典』を共編するなど、フィンランド文学の研究と紹介につとめてきた
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なる
28
戦地に赴いた父がクリスマスの夜に出逢った不思議な妖精の語る物語。虹の国からやってきた妖精のイルージアが地上で出逢ったのはトロールのペシ。地上の世界を楽しむうちにイルージアの羽根がなくなってしまい、ペシはイルージアと羽根を探す旅をすることに。犯人のオニグモや用心深いザリガニ、カッコウやジョウビタキ夫妻、理屈っぽいカエルたちなど多くの生き物に触れあう中で自然界の掟に従う生活を知って行く。そこに突如、飛び込んでくる爆撃。ファンタジーと現実を交互に織り交ぜながら戦時下に喘ぐフィンランドを映し取った作品。2022/05/18
新地学@児童書病発動中
6
ファンタジーの世界と現実の世界が微妙につながりを持っているところが良い。2009/10/25
Amarilli
1
L'acte est vierge,meme repete.(行為は処女である、たとえ繰り返されても。) ルネ・シャール 『眠りの神のノート(抄)』2015/02/06
-
- 和書
- パンダと犬 〈3〉