出版社内容情報
自由の気風と民主主義の精神を育む独自の教育制度を詳説した草分けの書、
体験記とインタビューを加えた待望の最新改訂版。
本書の初版となる『デンマークに生まれた「フォルケホイスコーレ」の世界』は1993年に刊行され、1996年に『生のための学校』と改題されている。それ以後、長きにわたって版を重ねてきたので、十分「ロングセラー」と言えるだろう。
初版刊行時、デンマークの教育システムが日本に広く知れわたるとともに、「ゆとり教育」などに若干の影響を与えたようだが、その後、日本における教育事情は逆戻りしてしまった。また、フォルケホイスコーレの意義の一つは市民社会を支える市民教育であるが、日本は官製の生涯学習がさらに強化されており、市民の自発性が弱まっているように思えるので、本書を改訂して、刊行を続けていく社会的な意義がまだまだ十分ある。
改訂内容は、第1部については歴史的な記述が多いのでそのままとし、学校数などのデータのみ刷新した。第2部はすべて新原稿である。2010年代に留学した2人の体験記と、リュ・ホイスコーレの前校長、オレ・トフトデルへのインタビューを掲載した。第2部を読まれることで、ホイスコーレのもつ「生きた言葉」がつなぐ共同性、ホイスコーレに学び、滞在した人のみが経験する「空気」のようなものが感じとれるはずである。
内容説明
180年以上にわたって続く「生きた言葉」の授業。留学体験記とインタビューを加えた最新改訂版。やはり、デンマークは凄い!
目次
第1部 「生のための学校」―デンマーク・フォルケホシスコーレとグルントヴィ(トゥヴィン・スクール―手づくり風車発電と「旅するフォルケホイスコーレ」;フォルケホイスコーレの暮らしぶり;フォルケホイスコーレの組織と内容;フォルケオプリュスニング(民衆の社会的自覚)―デンマークの教育と社会
グルントヴィの生涯と思想
フォルケホシスコーレ運動の興隆とクリステン・コル
フォルケホイスコーレ運動の拡がり―デンマークの農民革命 ほか)
第2部 校長へのインタビューと留学体験記(リュ・フォルケホイスコーレのオレ校長にインタビュー(二〇〇八年三月)
フォルケホイスコーレ留学体験記(小笠原朋子)
五〇代の男、若者に交じってアートを学ぶ―「ボーンホルム・ホイスコーレ」の留学日記)
著者等紹介
清水満[シミズミツル]
1955年、対馬に生まれ育つ。1991年、九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2012年、北九州市立大学社会システム研究科博士課程早期修了。博士(学術)。専攻は、倫理学、政治思想。デンマークのホイスコーレ運動にヒントを得た教育市民運動ネットワーク「日本グルントヴィ協会」の幹事をしている。著書に『フィヒテの社会哲学』(九州大学出版会、2013年、2014年度フィヒテ賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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