出版社内容情報
子どもの尊厳を守り、感情も含めてまるごと理解し、社会性を育むような「評価」とは?
米国発・最新の総合的評価法を紹介
この数年、新型コロナウイルス感染症の流行を機に学校教育が大きく変わったと言われます。本当にそうでしょうか? もちろんICT(情報通信技術)導入の加速など、変わった部分もあるでしょうが、一方でいまだに旧来のやり方にしがみついている面も多々あるように見えます。
たとえば「評価」の考え方や方法です。コロナ以前と同様、今も「テスト中心の成績評価」に頼っていませんか? あらゆる活動が評価に向けて数値化されるようになっている昨今、子どもたちは自分の学習活動が正しく評価されていると感じているでしょうか。ICTの活用により、個別の学びやグループ学習が促進されたとして、それに合わせて評価の方法も変えることができていますか?
本書では、教科指導と「感情と社会性を育む学び(SEL)」を統合するという観点から、教科の成績だけでは測れない、子どもの可能性をも見据えた新しい評価の考え方と方法を提言しています。その根底には、一人ひとりの子どもの尊厳を守り、「まるごと」理解し、学校全体での学びを重視するという方針があります。本書における「評価」とは、子どもが最善の学びを通して成長してゆけるように、子どもの状況や可能性をしっかりと把握し、教師側がその情報をカリキュラムや指導の改善に活用することまでを含んでいます。こうした「指導と評価の一体化」を通じて、子どもたち自身がSELを通じて互いに信頼しあえる人間関係を築き、総合的な評価のなかで自己認識を深め、責任ある意思決定を行えるようになることが目指されます。
本書には、ルーブリック(学習到達度を示す評価基準を表として示したもの)やリフレクションシート(学びをふりかえり、次の学びにつなげるための記録)のほか、「歓迎の便り」や「アクションプラン」など、そのための具体的な実践案が詳しく、わかりやすく解説されています。評価の考え方と方法の刷新に、ぜひ本書をご活用ください。(訳者一同)
内容説明
新型コロナの流行で学校教育が大きく変わったと言われているが、本当にそうだろうか?「感情と社会性の学び(SEL)」とは、互いに信頼しあえる人間関係を築き、評価を通して自己認識を育て、より良く学ぶための自己管理を促進し、責任ある意思決定が行えるようにすることです。本書では、教科の指導とSELを統合して教えるという観点から、「評価の仕方」について提言しています。すべての生徒が「まるごと」理解され、尊厳が守られ、そして学校全体で子どもの学びをサポートするためです。生徒が知っていることやできることを見取り、その情報をカリキュラムや学習、指導の改善に使うことを意味しています。つまり、「指導と評価の一体化」として継続的な形成的評価を行うということです。生徒の学びをサポートするすべての教師にとって最良の1冊となることでしょう。
目次
第1章 信頼できるだけの人間関係を築いて学びをサポートする
第2章 評価のなかで自己認識を育てる
第3章 より良く学ぶために自己管理を促進する
第4章 責任ある意思決定を教えて、学びに対する生徒のオウナーシップを高める
第5章 成績に対する感情的な反応を理解し、改善する
第6章 個別評価で生徒の尊厳を高める
著者等紹介
サックシュタイン,スター[サックシュタイン,スター] [Sackstein,Starr]
20年間中高生に英文学とジャーナリズムを教えた後、ニューヨーク州ジャーナリズム教育協会のディレクターを務め、2016年にはASCDの「Emerging Leader(若手のリーダー)」に選ばれ、TEDトークを行った。現在は教育コンサルタントとして多くの著書を著すほか、講演活動を行っている
中井悠加[ナカイユカ]
島根県立大学で初等国語教育や保育内容(言葉)、読み聞かせの授業を担当。博士(教育学)
山本佐江[ヤマモトサエ]
帝京平成大学准教授。東京で公立小学校の教員をしていた間、ずっと疑問を感じていた評価についてより深く学びたいと思い、東北大学大学院教育学研究科教育設計評価専攻にて学ぶ。博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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