出版社内容情報
生徒の抱える「不安」に気づいていますか?
ものの見方や考え方を少し変えると教室が変わる!米国発スクールメンタルケアの最前線
長びく新型コロナ、戦争の勃発、亢進するインフレに円安と、不安定な世情がいくつも重なり、いまやいつ何が起きるかまったく予期できない社会が到来しています。「不安」はこうした状況で増大するものです。これだけ社会が不安定化すると、不安を抱えずに生活できる人など、ごく一握りしかいないのではないでしょうか。
日々多くの生徒と向き合う中で、不安を抱えている生徒に対して何をしてあげればいいのかわからず、手をこまねいていませんか? そもそも、生徒の不安に気づいてあげられていますか? 悩んでいる生徒が、自分のつらい状況を自ら話してくれるとはかぎりません。
日々変化する社会の中で、学校が向き合わなければならない問題も多様化し、生徒のメンタルヘルスが教科内容に劣らず重要だとみなされるようになりました。心が安定していなければ、感情や社会性に負の影響が及びますし、より良い学びも不可能だからです。
本書の著者ラヴィシー-ワインスタイン氏は、「教師は学校の中に不安という病が存在することを認識するだけでなく、それに対して行動を起こさなければならない」と述べます。生徒が感じる不安を軽減し、安心して学校生活を送れるようにサポートするために、不安の原因となっているものを見きわめ、対処しなければならない、ということです。本書にはそのための実践的なヒントがたくさん詰まっています。しかも重要なのは、まずは教師が、世間で常識とされているものの見方や考え方を少しだけ変えることで、生徒の心や教室全体にとても良い影響をもたらすことができるということです。
本書ではまた、最終的には生徒自らが、自分の抱えている不安に気づき、周囲に助けを求められるようになることの大切さも訴えています。本書を通じて、不安を抱えている生徒たちとともに、より良い学びに向けた第一歩を踏み出しませんか。(こいわい・りょう 私立中高国語科教員)
内容説明
問われる「教師力」生徒の「不安な心」をサポートするために、教師に何ができますか?
目次
予期せぬ事態への対応―不安を抱えている生徒に対して教師が行いがちな過ちと、その修正方法
よく見る、尋ねる、実行する―生徒が自分で不安を乗り越えるためにサポートする方法
手を取って進む―不安を抱えている生徒と一緒になって、生涯にわたって使えるスキルを身につける
ありのままの自分を見せる―自分の経験を、不安を抱えている生徒のためのガイドとして活用する
SNSの真実を教える―すべてが完璧なファンタジーの世界を、不安を抱えている生徒がうまく生きていけるように助ける
生徒の理解を得る―不安な生徒に効果的に伝えるために、理由を明確にする
生徒の「声」を聴く―不安をコントロールする方法として、自己表現とセルフ・アドボカシーを促す
精いっぱい取り組むことを促す―評価の方法の転換で、不安を抱えている生徒からレッテルをはがす
ルーティーンを守る―不安を抱えている生徒の心と体のために、明確で一貫したルーティーンをつくる
コミュニティーをつくる―不安から来る孤立感を取り除くために課外活動を奨励し、これまでとは異なる授業形態を実施する
著者等紹介
ラヴィシー‐ワインスタイン,クリスティーン[ラヴィシーワインスタイン,クリスティーン] [Ravesi‐Weinstein,Christine]
メンタルヘルスと向き合いながら、教育と執筆に情熱をもって取り組み、現在もTwitterの@RavesiWeinsteinで発信し続ける。これまで高校の理科主任を4年、担任を15年間受け持ち、現在はマサチューセッツにある公立校で教頭として勤務。2003年にはハーバード大学で教育学の修士号を取得し、教育NPOの共同設立者でもある
小岩井僚[コイワイリョウ]
私立中高国語科教員。自身が受けてきた国語科教育に疑問をもち、大学卒業後はアメリカの大学院へ進学。自身が学び続けることで、既存の考えにとらわれずに「話すこと・書くこと・読むこと」を通して生徒と教師がともに学び続けられる時間をつくることを目標にしています(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。