メイド・イン・タカオカ―伝統工芸と近代産業が織りなす富山県高岡市

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メイド・イン・タカオカ―伝統工芸と近代産業が織りなす富山県高岡市

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  • サイズ A5判/ページ数 592p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784794812100
  • NDC分類 602.142
  • Cコード C3060

出版社内容情報

加賀一二〇万石の中心地として、また畿内北部の一大商工業都市として
栄えた町の歴史と現在を総合的に探求。訪問事業所約100件

 富山県高岡は、加賀藩第二の都市として1609(慶長一四)年に開町するものの、1616年の幕府の「一国一城令」により高岡城が廃城となり、その後は商工業都市として歩んできた。コメ、綿糸・綿布市場と鋳物(鉄・銅)、漆器といった伝統工芸品の発達により、幕末には「北陸の大坂」といわれるほどの発展を示した。1889(明治二二)年に市制・町村制が敷かれた際は、その第一次市制全国31市の一つとして高岡市が誕生している。
 大正時代に始まる日本の産業革命期には、安価な水力発電を最大の武器として重化学工業化を進め、本州の日本海側最大の近代工業都市を形成した。この期間には、特に伝統の鋳物等の工芸品に加え、アルミ産業が顕著な発展を見せた。
 その後は現代に至るまで、これら豊かな工業展開を通じて就業機会が増え、「富山が日本で一番豊か」といわれるほどになっていった。人びとは出稼ぎに出る必要がなく、副業のつもりの会社勤めが本業化し、むしろ農業が副業化していく。地元に優良な勤め先が多く、共稼ぎや女性の就業が他地域に先んじて拡がり、「富山の豊かさ」の基礎となっていく。
 だが、1990年前後のバブル経済崩壊以降、主力のアルミ建材の市場が縮小し、生活様式の変化に伴い伝統工芸品も縮小を余儀なくされ、次の「豊かさ」に向けた産業発展の契機をいまだ十分には見出せないでいる。
 本書では、このように特徴ある産業発展を示した高岡について、歴史分析的視野をベースに、個々の産業・企業および農業者の動きを追い、農工業全体の問題の構造を明らかにし、新たな発展のための道筋を展望する。人口減少、少子高齢化、既存産業の停滞に悩む全国の地方都市にとって、高岡の歩みは一つの象徴的な事例であり、今後の発展の指針を探る上で示唆の多いモデルともなるだろう。(せき・みつひろ)

内容説明

モノづくりの心で未来を切りひらく。江戸期から独自の発展を遂げてきた一大商工業都市。人びとの不断の営みに地方都市発展の指針を学びとる。95事業所訪問!“高岡型幸せモデル”の全貌。

目次

第1章 高岡産業経済の歴史と輪郭
第2章 地方産業都市として展開
第3章 伝統工芸品産業と特産産業の展開―銅器、漆器、仏壇、捺染、ニットと菅笠
第4章 現代高岡の産業構造
第5章 伝統的な工芸品産業の推移と現在
第6章 近代的なモノづくり産業の展開
第7章 転換期にある高岡の産業―飛躍する個性的な中小企業
第8章 高岡の農業の新たな展開
終章 高岡地域産業と中小企業の未来
補論1 2011年/「富山型」集落営農モデルの展開―礪波平野と近代工業都市高岡の兼業農業地帯
補論2 2015年/高岡~礪波の6次産業化の取組み―稲作地帯の新たなうねり

著者等紹介

関満博[セキミツヒロ]
1948年富山県小矢部市生まれ。現在、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。受賞:1984年第9回中小企業研究奨励賞特賞。1994年第34回エコノミスト賞。1997年第19回サントリー学芸賞。1998年第14回大平政芳記念賞特別賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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白石佳和

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富山県高岡市の産業を伝統工芸と近代産業に分け、その歴史と現状、将来の展望を語った本。約700頁の大著で、100近くの事業所を取材して中小企業それぞれの魅力や後継者について語る力作。高岡市は新幹線が通っているものの恩恵をほとんど受けず産業が衰退している印象があったが、能作を始めイノベーティブな企業もたくさんあることがわかり、高岡市に働く自分も改めてその魅力に触れてみたいと感じた。作者は同様の書籍を他にも刊行(新潟県燕市など)していて、精力的に地方都市の発展のあり方を追求している。2022/10/19

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