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出版社内容情報
本書は、たぶん書店では、「国際協力・NGO(非政府組織)」というジャンルの棚に並ぶだろう。私がいくら「この本は、有酸素運動による腰痛と肩こり改善を追求した、普遍的命題の哲学書である」と言い張っても、「哲学」の棚に並ぶことは、残念だがまずなさそうだ。私の地元、岐阜では「そんなわけあらすか?(そんなわけないでしょう?)?!」というところだ。
それにしても、本書のキーワードとなる「国際協力」「支援」「援助」という言葉、美しいが、そのあり方そのものについて問われることはあまりない。「積極的平和主義」を謳う現政権がなし崩し的に押し進めている「武器の輸出規制の大幅緩和」「集団的自衛権や集団安全保障を可能とする憲法解釈」「ODA(政府開発援助)の軍事利用を禁止する要件緩和」にも、必ず「支援」とか「国際協力」とか「国際貢献」といった美名(偽装表示)が脇に付く始末。これこそ、「そんなわけあらすか?!」である。
国境を超えた激しい競争社会もまた、これらの言葉を都合よく使い回し、その中身を問うことなく、市場で値段の付くもの、効率的に素早く効果を上げるもの、果ては軍事産業や原発輸出など莫大なお金と巨大な「モノ」が動くものに、その名を与えているのが現状だ。「軍事」と「経済」が一体化した「国際協力」、これらは抗し難い流れなのだろうか。
こうした由々しき潮流に、真正面から勇ましく立ち向かっていくような気概、迫力は、4コマ漫画満載の“脱力”の本書からは全く伝わらないかもしれない。しかし、ちょっと息を抜いて本書の世界にもふれてほしい。一歩立ち止まり、これまでの「自分の立ち位置」、これまでとは違う「もう一つの抵抗のありか」を、考えていただくきっかけぐらいにはなるかもしれない。
本書は岐阜県の小さな国際協力NGO(認定NPO法人ムラのミライ。2014年10月、旧称ソムニードから改称)が、南インドのスラムのおばちゃんたちと一緒に、勝ち組にも負け組にもならない“おまけ組”の共生コミュニティ、「おばちゃん信用金庫」を設立した話だ。インドの経済学者アマルティア・セン流に言えば「潜在能力の開花」、私流に言い換えれば「国際協力」という名の「お節介」の話だが、中身はやはり、普遍的命題に迫る「哲学書」だと私自身は思い込んでいる。(はら・やすこ)
【著者紹介】
国際協力コンサルタント、コミュニティ開発専門家。われながらウサンクサイ肩書きだが、アジアやアフリカの農村や都市のスラムのおばちゃんたちと自信や自尊心を高め合い、共生のコミュニティを創る「お節介」が仕事。岐阜県出身、ネパール在住。
内容説明
経済第一主義が作り出す、ほんの一握りの「勝ち組」と大多数の「負け組」―超格差社会。しかしここに、勝ち組でも、負け組でもない、“おまけ組”とも呼ぶべきもう一つの道を選んだおばちゃんたちがいる。南国のある港町。彼女らの小さな取り組みが私たちに教えてくれるものとは。国際協力NGOの一員として活動を共にした著者が、自らの「思い出すのも恥ずかしい」数々の失敗話を俎上にのせて、共生、支え合い、支援のありうべき姿を、ユーモア溢れる筆致で鋭く描き出す。
目次
第1幕 南国港町おばちゃん信金(鵜匠さんとインドのおばちゃんと赤味噌と―誰かが誰かを援助できる?;給与はインドルピーです―「援助」の仕事はさっぱり…;途上国「援助」における職人技とは?―親方の技を、現場で盗みたい ほか)
第2幕 印度草双紙(インド暮らしスタート;テレビCMとお手伝いさん;大工、電気・水道・電話の修理屋さん ほか)
第3幕 日本のおばちゃんとして―途上国で働く三つの理由(途上国で身につけた「援助しない技術」;勝ち組・負け組・おまけ組;日本国憲法とおばちゃん)
著者等紹介
原康子[ハラヤスコ]
国際協力コンサルタント、コミュニティ開発専門家。岐阜県出身、ネパール在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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