出版社内容情報
近畿一帯の水供給を支える琵琶湖を中心に独特の文化圏を形成する滋賀。環境や人づくりをめぐるその創造的な挑戦に学ぶ!
人口の減少と高齢化が急速に進む時代になり、わが国は今、明らかに曲がり角を迎えている。経済のグローバル化のなかで、地方の疲弊が進んでいることは言うまでもない。低空飛行の経済が続くなかで、量の拡大から質の向上へ、開発から保全・共生へ、新設から使いこなしへ、そしてモノの豊かさを追求する時代から心の豊かさがいっそう求められる成熟の時代へと向かいつつある。「地域再生」はそうした時代を背景に登場してきたものである。地域の振興も、これまでのような中央主導、全国画一的なものから、地域が主体になって地元の資源や人材を生かす時代になっている。「地域再生」は地域が自ら豊かになっていく試行錯誤の取り組みであり、そこには「地域発」の「創造的」な「実践」が求められる。本書は、そうした地域再生への挑戦とも言えるような滋賀での取り組みを、27人のキーパーソンに報告してもらったものである。滋賀は日本のほぼ中央に位置し、日本一の湖である琵琶湖を取り囲むように、1000メートル級の山々が県域の周囲に連なっている。このため、県内に降った雨の96%は琵琶湖に流れ込むというユニークな地形と水系をなしている。「小宇宙」と言われるように、ひとつの独立した世界を形成しており、滋賀の歴史、文化、自然は琵琶湖を抜きにして語ることはできない。「母なる琵琶湖」と言われる所以である。そして、琵琶湖から流れ出す唯一の河川である瀬田川は淀川となって大阪湾に注いでいる。近畿圏1560万人の命や産業を支える貴重な水を提供しており、琵琶湖の環境保全は滋賀の大きな責務となっている。交通の便や自然環境に恵まれ、人口の増加傾向が続く数少ない都県のひとつだが、情報発信が下手で、存在感のない県だとも言われている。そんな滋賀県内各地での地域再生の取り組みは、各地のこれからの地域づくりに大いに参考になると確信している。本書を通じて、滋賀の存在と地域再生への挑戦を知っていただければ幸いである。(編者 森川 稔)
内容説明
豊かで持続可能な湖国をめざして。近畿圏の水供給を支える琵琶湖(マザーレイク)を中心に独特の文化圏を形成した滋賀、その地から発せられる創造的な実践の数々。
目次
環の郷たかしまの実現
地産地消のエネルギー
古民家の再生
八幡堀からまちづくりへ―近江八幡
城下町の町並み保存とまちづくり―彦根
歴史的資源を生かしたにぎわいのまちづくり―長浜
自転車が生きるまち
まちづくりと図書館
新たなコミュニティ―地域づくり協議会
市民活動とまちづくり―「土の人」としてのコミュニティ・アーキテクトへの期待
湖東地域材循環システム協議会(kikito)の挑戦
「琵琶湖」をブランドイメージにした地域再生
コミュニティ・アーキテクトの育成
著者等紹介
森川稔[モリカワミノル]
滋賀県立大学地域づくり教育研究センター特任准教授。1951年東京都生まれ。京都大学工学部建築学科卒業。京都大学大学院、財団法人滋賀総合研究所、大阪大学大学院を経て、都市計画コンサルタント勤務。2007年から滋賀県立大学勤務。近江環人地域再生学座担当。専門は、都市計画、地方計画、地域再生、まちづくりで、各地のまちづくりや商店街活性化などに係わる。地元の大津では、大津市市民活動センターの開設・運営や大津の町家を考える会などに係わる。工学博士、技術士(都市計画および地方計画)、一級建築士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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