出版社内容情報
「妹が僕に映画をつくらせた。」自閉症の子と家族の絆の記録。この秋、兄・正和氏・監督作品「ちづる」が全国で順次ロードショー公開
娘の千鶴は、重度の知的障害を伴う自閉症である。今年21歳になった。自閉症という言葉はだいぶ知られてきたが、自閉症は心の病ではなく、先天的な脳機能の障害だと正しく理解している人は、まだそれほど多くはないだろうと思う。千鶴の2歳上の兄・正和が、立教大学映像身体学科をこの春卒業するにあたり、卒業制作として自閉症の妹を題材にしたドキュメンタリー映画「ちづる」を撮った。映画は思いがけずこの秋劇場公開の運びとなり、その過程で、この本の出版のお話をいただいた。この本のベースになっているのは、千鶴や私のことを心配してくれている友人たちへの近況報告のつもりで日記の形で書き続けてきたブログである。私にとって日記の効用は大きかった。千鶴から片時も目が離せない、束縛された子育ての毎日のなかで心が折れそうなときも、千鶴の行動を客観的に文章にして表現するうちに対処の手がかりを見つけたり、そのときは笑うどころではなかった出来事も時間がたって読み返すとおかしくなって笑えたりしたからだ。それは、チロルチョコやプーさんグッズなど千鶴の「こだわり」をめぐるドタバタ劇や、1人でタクシーに乗ろうとしたり無銭飲食しかけたりのちょっと危ない顛末などである。自閉症という障害、自閉症児・者がいる暮らしについて、こんな“なんでもない”子育ての記録だからこそ伝わることもあるのではないかと思う。千鶴が養護学校小学部4年生から高等部2年生、父親が突然交通事故で亡くなる直前までの日記を中心に、娘の幼い頃の成育歴や自閉症についての説明を加えた。また、今まで書けずにいた夫の事故後の出来事について、初めて書いている。映画「ちづる」とこの本を通じて、1人でも多くの方に自閉症を理解していただければと願っている。(著者 赤﨑 久美)
内容説明
自閉症の娘・千鶴、その兄として悩む息子・正和。母が綴る家族の物語。
目次
第1章 幼少期―自閉症を受け入れる(障害がわかるまで;診断を受ける―一歳四カ月、悪あがきの日々が始まる;自閉症とは ほか)
第2章 日記―一九九九年七月から二〇〇六年七月まで(一九九九年 四人家族の充実した年 ちづる九歳;二〇〇〇年 思春期の入り口 ちづる一〇歳;二〇〇一年 一二年ぶりの引越し ちづる一一歳 ほか)
第3章 三人家族へ…(夫の死;その後の千鶴;子犬のバナナ ほか)
感想・レビュー
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