出版社内容情報
19-20世紀前半のマヤ学の成果を総合化した名著!
本書は20世紀を代表するマヤ考古学者トンプソンの代表作の全訳である。1954年の初版刊行後、スペイン語にも翻訳され、20世紀最大のマヤ文明のベストセラーとなり、今なお多くの研究者や旅行者に読まれている名著である。日本ではマヤ文明といえば、「謎・神秘の古代文明」として様々に誤解されているが、本書はそうした「神秘的なマヤ文明観」の起源や形成を知る上でも欠かせない。トンプソンはマヤ考古学、言語学、民族学に関する250を超える著作(本・論文など)を出版したが、本書はその初の邦訳である。本書出版後の調査研究によって、トンプソンの様々な学説は否定されている。しかし、トンプソンが収集した考古資料、民族史料やマヤ文字の研究は、今日なお大きな価値を有している。数多くのマヤ学者が最高権威だったトンプソンの学説を実証的に否定することによって、マヤ考古学の研究は大きく進展したのである。これは、人文社会科学には「絶対的な真理」はなく「相対的な優劣」があるだけという学問の一つの真実を示しているともいえよう。困難な野外条件に立ち向かい、19-20世紀前半のマヤ学の成果を総合化した本書の偉大な業績を乗り越えることで、より客観的でより科学的なマヤ考古学が発展したのである。
内容説明
マヤ学最大の古典、19‐20世紀前半の研究成果を総合化した不朽の名著、待望の完訳。マヤ文明研究の第一人者である訳者(日本学士院学術奨励賞)による最新の調査研究成果を反映した懇切な訳注、解説、最新参考文献付。
目次
第1章 はじめに
第2章 マヤの都市国家群の起源と繁栄
第3章 マヤ文明の衰退
第4章 知的・芸術的な偉業
第5章 マヤ人の生活の点描
第6章 マヤ人の宗教
第7章 マヤ文明を回想して
著者等紹介
トンプソン,ジョン・エリック・シドニー[トンプソン,ジョンエリックシドニー][Thompson,John Eric Sidney]
1898年ロンドンに生まれる。1975年没。20世紀を代表するイギリス人マヤ学者。ケンブリッジ大学で人類学を専攻。マヤ考古学、言語学、民族学に関する250を超える著作・論文を出版し、マヤ考古学の発展に深遠な影響をもたらした。古代マヤ暦と西暦の相関を確立し、マヤ暦、天文学、図像学、宗教、神話の先駆的な研究を行った。1975年にエリザベス2世によって、新大陸考古学者として初めてナイトの称号を授けられた
青山和夫[アオヤマカズオ]
1962年京都市生まれ。茨城大学人文学部教授(マヤ考古学、文化人類学)。東北大学文学部卒業。ピッツバーグ大学人類学部大学院博士課程修了(人類学博士)。1986年以来、ホンジュラスのラ・エントラーダ地域、コパン谷、グアテマラのアグアテカ遺跡、セイバル遺跡などでマヤ文明の調査に従事。2007年12月に日本学術振興会賞、2008年2月に日本学士院学術奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。