出版社内容情報
福祉先進国の高齢者ケアの実情を精緻なデータ分析によって解明し、日本の課題をも探る問題提起の書!!
「福祉先進国スウェーデン」を1998年夏に初めて訪れた著者は、その後1年間、リンショーピング大学テマ研究所で客員研究員を勤めた。そこでのフィールドワークを通じて、スウェーデンの高齢者ケアの「光」つまり長所だけでなく、「影」をも漠然と感じ取ることとなった。帰国後、その「影」の部分への関心をもとに、社会学の方法論に基づき、スウェーデンの高齢者ケアに関するコミューン(市)・ベースのデータ収集に腐心した。そこから、コミューン間に著しい格差が存在することが明らかとなった。先行研究の成果を批判的に検討しつつ、これらファースト・ハンドのデータを分析し、スウェーデンの高齢者ケアの「本当の姿」に可能な限り迫ることを目指した。本書は、スウェーデンの高齢者ケアには、政策レベルでも介護実践レベルでもさまざまな問題点があることを明らかにしている。こうした「影」の部分についてはどうも社会福祉の分野のタブーであったようで、ほとんど触れられてこなかった。本書は、従来のスウェーデン研究書とは全く異なる問題提起の書である。スウェーデンの高齢者ケアの光も影も、エビデンス(データの裏づけ)をもって、すべて読者に提示している点が大きな特徴である。
内容説明
福祉先進国の高齢者ケアの実情をエビデンス(データの裏付け)をもって解明!見えてきた日本の課題―それを探る問題提起の書。
目次
スウェーデンの社会的文化的背景
第1部 スウェーデンと日本の高齢者ケア政策に関する構造的問題(エーデル改革後の社会的入院費支払い責任をめぐる構造的問題;スウェーデンにおけるニーズ判定;日本における要介護認定の現状と問題点;サービス利用時の自己負担額のコミューン間格差に関する構造的問題;介護の付いた特別住宅の運営に関する入札制度と官民間競争原理;高齢者虐待防止法としてのサーラ法の成立とその後の展開;スウェーデンにおける住宅改修サービスの現状と課題;日本における住宅改修サービスの現状と課題)
第2部 スウェーデンと日本のケア実践に関する構造的問題(スウェーデンにおける介護スタッフの勤務スケジュールの現状と問題点;日本における介護スタッフの勤務スケジュールの現状と問題点;スウェーデンの高齢者に対するインフォーマルサポートの過去と現在;スウェーデン高齢者ケア研究からのレッスン)
著者等紹介
西下彰俊[ニシシタアキトシ]
1955年愛知県春日井市生まれ。1979年京都府立大学文学部社会福祉学科卒業。1982年財団法人東京都老人総合研究所社会学部。1984年東京都立大学社会科学研究科社会学専攻博士課程単位取得。1987年神戸山手女子短期大学。1990年金城学院大学。1998年スウェーデン・リンショーピング大学テマ研究所客員研究員(1年間)。2004年東京経済大学現代法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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