出版社内容情報
〈人間的な消費生活〉と〈人間のための企業活動〉をめざして動きだした新たなマーケティングのスタイルを紹介するものである。ここでは、新時代の消費者および企業の行動様式を「スロースタイル」と名づけ、そのような新しい生活デザインの考え方が、消費者側の多様な生活シーンにいかに浸透しているかを検証する。
本書は、先進工業諸国の人々の消費生活や企業活動を牽引してきたこれまでのマーケティング戦略のあり方を根本から問い直し、その功罪を視野に入れつつ、いわば〈人間的な消費生活〉と〈人間のための企業活動〉をめざして動きだした新たなマーケティングのスタイルを紹介するものである。ここでは、新時代の消費者および企業の行動様式を「スロースタイル」と名づけ、そのような新しい生活デザインの考え方が、消費者側の多様な生活シーンにいかに浸透しているか、また、それに基づくスロースタイルマーケティングが、生産者側の多様なビジネスシーンにいかなる力を発揮しつつあるかが解明される。
イタリアに一九八〇年に設立されたバローロ愛好協会が八九年にスローフード協会に改組されて以来、マクドナルドに代表されるファーストフード戦略への批判軸として、スローフードの運動や考え方は瞬く間に世界に広がっていった(日本でも、二〇〇〇年頃からスローフードや生活全般のスローを主張するスローライフの考え方が徐々に広まりつつある)。実際、本書で扱ったフード、ファッション、リビング、メディア、ツーリズム、ファイナンス、シティという七つの領域では、すでに多くの「スロースタイル」への革新事例が消費者および企業の両面で報告されている。
これらスロースタイルへの大きな動きを準備したものは、一つは、自己実現から自己超越への消費者ニーズの変化であり、もう一つは、それに対応する形で生じる、企業のコンテンツ提供者からコンテクストプロバイダーへの変化である。すなわちこの変化は、(自己を超えて社会や環境のことまで考えながら)自らの生活をデザインする消費者の出現なのであり、マスマーケティングに代えて消費者に新しい価値空間としてのコンテクストを提供する、スロースタイルマーケティングへの革新なのである。この新しいスロースタイルへの息吹きを、読者の皆さんに感じとって頂ければ幸いである。(はらだ・たもつ)
内容説明
本書は、先進工業諸国の人々の消費生活や企業活動を牽引してきたこれまでのマーケティング戦略のあり方を根本から問い直し、その功罪を視野に入れつつ、いわば「人間的な消費生活」と「人間のための企業活動」をめざして動きだした新たなポスト(脱)マーケティングのスタイルを紹介するものである。ここでは、新時代の消費者および企業の行動様式を「スロースタイル」と名づけ、そのような新しい生活デザインの考え方が消費者側の多様な生活シーンにいかに浸透し、また、それに基づくスロースタイルマーケティングが生産者側の多様なビジネスシーンにいかなる力を発揮しつつあるかが解明される。
目次
消費手段を奪還する生活者―スロースタイルマーケティングの基本概念
第1部 進化型スロースタイルマーケティング(こころの自己組織化―グローカルコロニーとしてのスローシティ;国家的イデオロギー装置の脱構築―「知のツール」としてのスローメディア)
第2部 拡張型スロースタイルマーケティング(アイデンティティのリ・デザイン―自分探しのスローツーリズム;ウチとソトの連続性―環境と対話するスローリビング;コンテクストの自己編集―自己を紡ぎ出すスローファッション)
第3部 トリガー(契機)型スロースタイルマーケティング(等身大の選択肢―シナリオづくりをサポートするスローファイナンス;物語を構築する力―共に世界を想像するスローフード)
コンテンツと関係性の革新―スロースタイルマーケティングの体系
著者等紹介
原田保[ハラダタモツ]
1947年生まれ。多摩大学ルネッサンスセンター教授。専門、戦略研究、文化研究
三浦俊彦[ミウラトシヒコ]
1958年生まれ。中央大学商学部教授。専門、ブランド・マーケティング、グローバル・マーケティング、eマーケティング、消費者行動論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。