出版社内容情報
90年代以降の劇的変化を踏まえ、ラ米政治を多角分析!日本初の総合的なラ米テキスト!刊行10年のロングセラー!学生・研究者から一般社会人まで大好評!待望の改訂版第一弾!
1990年代から現在までに、ラテンアメリカの政治を取り巻く環境は大きく変貌しつつある。70年代末以降の民主化の大波により、多くの国々で軍事政権が倒れ、クーデターは減少し、民主主義がほぼ定着しつつあるかに見える。しかし、今日の経済的グローバリゼーションの進展は域内各国を厳しい国際競争にさらし、失業率の高騰、貧困人口の増大など、困難な社会問題が各地で人々の生活を脅かし、社会階層間の様々な軋轢を生み出している。一方でこうした状況のもと、市民社会の著しい台頭が見られ、長らく「被抑圧者」として声を封じられてきた先住民の政治参加が活発化するなど、注目すべき変化も起きている。本シリーズ(全7巻)は刊行以来10年、日本初の総合的ラ米テキストとして好評を得ているロングセラー。本書はその第1巻(初版92年)をシリーズ改訂版第一弾として新たに刊行するもの。90年代以降の劇的変化を踏まえた全面改稿・再編によって、ラ米政治・社会の全体像を多角的に分析する。旧版にはなかった付録として「ラテンアメリカ政治史年表」「各国便覧」「人名・事項索引」を付し、入門書・テキストとしての利便性がより高まっている。
内容説明
一九九〇年代以降のこの十数年間に、ラテンアメリカの政治を取り巻く環境は大きく変貌しつつある。七〇年代末に始まる民主化を経て、多くの国々で軍政が姿を消し、民主主義がほぼ定着しつつある一方で、経済的グローバリゼーションの進展は域内各国を厳しい国際競争にさらし、失業率の高騰、貧困人口の増大等困難な社会問題を引き起こしている。そのような状況のもと、市民社会の台頭、先住民の政治参加の活発化など、刮目すべき変化も生じている。この全面改訂版では最新の動向を踏まえた改稿・再編によって、民主主義の進展という劇的な変化とそれが内包する脆弱性を剔出し、ラ米政治の今日的課題を浮き彫りにする。
目次
地域の政治分析枠組の変遷
第1部 歴史的視点から(政治と社会の歩み;政治思想の歩み ほか)
第2部 政治勢力(政党―グローバル化時代の危機と再生;ブラジルの社会運動と民主化―労働者党(PT)の結成をめぐって ほか)
第3部 民主化と今日における民主主義の諸問題(「民主主義の時代」の到来―その光と影;公共的空間と市民社会の創造 ほか)
第4部 ネオリベラリズムへの抵抗(キューバ社会主義の現段階―一九九〇年代以降の制度改革と思想的「揺り戻し」;先住民の抵抗、先住民運動の展開)
著者等紹介
松下洋[マツシタヒロシ]
神戸大学大学院国際協力研究科教授。ラテンアメリカ政治外交専攻。1972年アジア経済研究所優秀論文賞(現研究奨励賞)、88年大平正芳記念賞、2001年大同生命国際文化財団地域研究奨励賞受賞
乗浩子[ヨツノヤヒロコ]
帝京大学経済学部教授。ラテンアメリカ近現代史・国際関係論専攻
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