出版社内容情報
アラブ民族解放の英雄ロレンス像は真実か? 『知恵の七柱』をはじめとする文献資料の精緻な解読によって「アラビアのロレンス」として偶像化されたT.E.ロレンスの実像に迫る。
内容説明
アラブ解放の英雄、大英帝国のエージェント、同性愛者、マゾヒスト、…さまざまなイメージが交錯し、神秘化されたロレンス像。『知恵の七柱』の成立過程とテキストの精密な読解によって、隠蔽された真実に迫る。
目次
第1章 前史
第2章 『七柱』シンドローム
第3章 「英国の欺瞞」
第4章 もう一つの欺瞞
第5章 最後の隠蔽―ダマスカスのロレンス
第6章 ロレンスをどう見るか
第7章 エピローグを考える
第8章 『七柱』はどう読むべきか
第9章 最後に
著者等紹介
田隅恒生[タスミツネオ]
T.E.ロレンス『完全版 知恵の七柱』(平凡社東洋文庫)の訳者。近代西欧人の中東理解(時代的にはほぼナポレオンの進攻より第一次大戦まで)に関心をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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柳瀬敬二
2
およそ半世紀前の傑作と称された映画『アラビアのロレンス』はロレンス本人が書いた『知恵の七柱』を原作にしているが、この七柱には史実と異なる部分が多々あるという。要するに七柱は、ロレンスの体験をもとに創作されたフィクションとしての小説なのだ。第一次大戦から百年が経過し歴史の一幕となったロレンスの姿を膨大な最新の研究結果から追い求めていくと、母国の三枚舌外交を知りつつも、対外工作員としてアラブ独立のための反乱を主導するという矛盾した行為の結果、メディアによって英雄にさせられた彼の悲劇性が浮き彫りにされる。2014/07/03
kiriya shinichiro
1
『知恵の七柱』読んだの、ずいぶん前なんで、内容を思い出すのにだいぶ苦労しました……いきなりこの本だけ読んでも、難しすぎてわからないと思う。基礎知識がある人が、ロレンスの著作の創作性や疑問点についてあらためて考えるための本だよね。2016/04/13
せら
0
『アラブが見たアラビアのロレンス』と平行して読んだが実史と異なる部分があるということとなぜそのような差異が出てきたのかを再発見させてくれる。2014/07/29