出版社内容情報
6月28日から中国・蘇州で開かれるユネスコの世界遺産委員会で、和歌山・奈良・三重の3県にまたがる「熊野古道」が
「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界遺産への登録が審議され、2004年7月2日遂に登録される。
「熊野」は、昨年('02)のNHK連続テレビ小説「ほんまもん」で最近またポピュラーになった地名かもしれない。そのほか世界遺産の暫定リストへの登録、熊野を通して天地人を描き抜いた作家中上健次、古くは藤原定家の『御幸記』、名高い那智の滝、など、一度も訪れたことのない人でも何らかのイメージを抱いている土地であろう。 筆者は四国八十八か所めぐりを綴った前作『詩国へんろ記』とおなじ姿勢を貫き、今回もその地を決して「観光地」としては歩いていない。古代から中世、近世と夥しい数の人々が訪れたこの聖地を歩くことで、日本人の信仰の源を辿るという縦の糸と、現在の地元の人々との出会いから生まれる「熊野の今」という横の糸を紡いでゆく。それはさながら熊野比丘尼や念仏聖たちが熊野信仰の普及のために広めたという曼陀羅図のような、時空を超えた物語となって読む者を引き込む。いにしえの人々が浄土へ続くと信じた道を本書で夢に辿るもよし、本書をガイドに実際に歩くもよし、とにもかくにも「行ってみたくなる」。
内容説明
本書は、約800年前、後鳥羽院の参詣に随行した歌人藤原定家が書き残した「熊野道之間愚記」(通称「御幸記」)を正味16日間かけて辿り、連綿と続いた熊野信仰の根源をさぐった体験記である。写真を多数掲載し、社寺等についても詳細な解説を付した。
目次
京都編(はるかなる熊野;古道の起点 ほか)
大阪編(上町台地;三十石船とくらわんか舟 ほか)
紀伊路編(紀三井寺に立ち寄る;紀ノ川の渡し場の王子 ほか)
中辺路編(南方熊楠を訪ねて;花と西行 ほか)
熊野三山編(遠くからトトロの歌が聞こえる…;もうすぐ本宮大社 ほか)
終章(紀州の郷土食「茶がゆ」―川湯;湯の花が創り出した本尊―湯ノ峯 ほか)
著者等紹介
細谷昌子[ホソヤマサコ]
1941年、東京生まれ。女子美術大学卒。1973年よりフリーで出版物編集関連の仕事に従事
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こまったまこ