出版社内容情報
【東京・ストラスブール・マルセイユ】80歳の孫が祖父の遺した膨大な日本コレクションを発見! それらの品々から明治の日本に生きた青年時代の祖父の姿が鮮やかに蘇る。
ピエールは、若き日の祖父ルイの手紙を発見する。120年前、明治の東京から書かれた手紙だった。フランス・マルセイユに住むピエールにとって日本という国は、行ったことがないどころか、関心を抱いたことさえない国だった。だが、祖父ルイの手紙を読みはじめたとたん、面白くてやめられなくなる。 フランス青年ルイ・クレットマンは、明治 9年(1876)、創立まもない士官学校の教師として来日。彼が日本滞在中に書いた手紙や日記、明治の日本を物語る535枚の写真などの膨大な日本コレクションが、1990年代になって、孫ピエールの手で発見された。これらはピエールが子ども時代バカンスを過ごしたレマン湖の家に、ふたつの世界大戦をくぐり抜けて、静かに眠っていたのだ。 この日本滞在の思い出が埋もれてしまった事情は、祖父ルイの失われた故郷ストラスブールにかかわるものであることを、ピエールは知る。 本書は、120年の歳月と、東京・ストラスブール・マルセイユにまたがる大きな時空のなかで展開される、祖父と孫の人間ドラマである。
内容説明
80歳の孫が120年の時空を超えて24歳の祖父に出逢う時―祖父の遺した膨大な日本コレクション(日記・手紙・写真)から、明治初期の日本に生きたフランス青年の青春が鮮やかによみがえる。
目次
第1章 白髪の孫が発見した若き祖父の日本―マルセイユ一九九七
第2章 五十三日の旅を終えて―東京一八七六
第3章 異国暮らし
第4章 お雇い外国人の仕事とバカンス
第5章 失われた故郷ストラスブールと埋れた日本の記憶
第6章 外国人の生活事情瞥見
第7章 出会い
著者等紹介
辻由美[ツジユミ]
作家・翻訳家。東京教育大学理学部修士課程終了後、パリに学ぶ。1996年、『世界の翻訳家たち』(新評論)で日本エッセイスト・クラブ賞受賞
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