出版社内容情報
【国際立地の理論と実態】50数社,約100人におよぶ実務家からのヒヤリングを基に,調査・研究対象の傍流とされてきた「小売資本の国際進出の分析」に真正面から取り組む。
近年、日本への外資小売業の進出が話題を呼んでいる。特に、欧米の様々な業態の小売業が日本市場にアプロ-チしてきており、業界関係者のみならず消費者の関心を引いている。一方で、日本の小売業もこれまで非常に多くの店舗を海外(特にアジア地域)に出店してきた。 アジアの大都市の目抜き通りには必ずといってよいほど、日本の百貨店が大きな店舗を構えている。ところが、最近は海外からの撤退がしばしば報じられ、かつてのような華々しい進出報道も影を潜めている。なぜ、日本の小売業の海外進出は成功しないのであろうか。これは、日本の小売業を国際市場の中で改めて捉え直す絶好の機会ともいえよう。 本書は、筆者がアジアの流通現場に幾度となく足を運び、50社以上の海外子会社で延べ100 人近くの実務家からヒアリングを行った結果をベ-スとした考察であり、またこのようにして得られた現地の実態とこれまでの研究とをすり合わせながら考察を進めたものである。
内容説明
小売業はなぜ国境を越えるのか。50社以上、約100人におよぶ実務家からのヒヤリングを基に、調査・研究対象の傍流とされてきた小売資本の国際進出の分析に真正面から取り組んだ意欲作。
目次
序章 本書のねらいと対象、視角、手法
第1章 小売国際化における海外出店の意義―製造業との比較から
第2章 理論構築への視角と課題―「フィルター構造」論の提起
第3章 基礎データの検討―出店・閉店の実像
第4章 出店要因の分析―主体の側の要因
第5章 閉店・撤退要因の分析―進出後の実態と閉店のメカニズム
第6章 海外の日本人市場と海外進出―「飛び地市場」の実態と課題
第7章 中間層市場の拡大とアジア進出―「市場同質化」論の検証
第8章 中間流通問題と海外進出―供給サイドへの着目
第9章 国際店舗立地のメカニズム
結章 「技術移転」から「共生」へ
付章 小売国際化研究の現状