出版社内容情報
自治体,建築家,施工業者,地域住民が一体となって街づくりを行っているデンマーク。世界が注目する環境先進国の「新しい住民参加型の地域開発」から日本は何を学ぶのか。
デンマークはヨーロッパ諸国の中でも環境保全と改善に積極的に取り組んでいる国として知られています。1971年に環境省が創設されて以来、環境政策は国家の重要な政策の一つとなってきました。そして、様々な市民団体の活動が政府が進める環境政策を後押ししていることは、デンマークの環境保全・改善活動における大きな特徴です。 デンマーク環境省は1992年に環境に優しい都市開発・再開発の指針として「2018年に向けてのデンマーク」(Denmark toward the year 2018)」を発表し、将来における国土利用の全貌を提示しました。また、1992年に開催されたリオデジャネイロでの地球サミットで採択されたアジェンダ21を受けて、各地方自治体は環境に優しい街づくりを目指して様々な活動を行っています。 現在デンマークの各都市で行われている環境に優しい街づくりは、地元の建築家が地域再開発のために1980年代後半より提案してきた、環境問題の包括的な解決を目指した都市計画に沿ったものです。「建築家の夢に過ぎない」と言う意見が地域住民から聞かれたような新しい価値観に基づく計画は、試行錯誤を経て今日ではデンマークの地域開発と再開発のスタンダードの基礎になりました。 また、従来にない実験的な計画が具現化された背景には、自治体、建築家、施工業者と地域住民を交えた計画検討会が、どの地域開発や再開発においても開かれており、この会議を通じて住民の意見が計画に十分反映され、地域住民が計画へ賛同し、協力することになったということがあります。 デンマークの環境活動は市民団体から自治体までの様々なレベルにおける人々によって進められています。将来有り得べき社会の姿を追求するデンマークの環境に優しい街づくりにおける基本的な考え方は、文化、歴史、風土、気候の違いを越えて世界中の諸国の持続可能な地域開発計画においても活かすことができるでしょう。 これは、デンマークの活動がリオデジャネイロで提唱された「地球規模で考え、地域で行動(Think Globaly,Act Localy)に基づいているからです。
内容説明
地球規模で考え、地域で行動。世界が注目する環境先進国の新しい「住民参加型の地域開発」を訪ねて。
目次
第1部 環境に優しい街づくりを支える環境政策(デンマークと日本の環境政策の違い)
第2部 環境に優しい都市計画・建築・デザインの思想(自然と共にあるための建築・デザイン―クラウス・ベック=ダニエルセン氏インタビュー;環境に同化するデザイン―和爾祥隆氏インタビュー)
第3部 デンマークの環境に優しい街づくり(建築家として環境にかかわること;自然の力を借りた技術で地球を守る;地球をいたわる人々を育てるために ほか)