中世哲学史

中世哲学史

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  • サイズ A5判/ページ数 670p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784794804419
  • NDC分類 132
  • Cコード C1010

出版社内容情報

地中海周辺地域に光をあて,無視され,排除され,周辺化されてきた中世哲学史(ユダヤ・イスラム・ビザンツ哲学)の闇の領域を初めて繙く。キリスト教西欧の視点を越える金字塔!
我々は、普通、西洋哲学史をキリスト教西欧の視点から見ている。そこに登場するビッグネームは「古代」のプラトンやアリストテレスであり、「近代」のデカルトやカントであって、「中世哲学」は、まるで言葉そのものの中に矛盾があるかのように、薄闇の中に沈められてきた。中世は二つの光明に挟まれた長いスランプ期間である。しかし、それはキリスト教西欧から見た哲学史にすぎない。ユダヤ人やイスラム教徒の哲学史の中では、中世は文句なく光明の季節である。それはマイモニデスがユダヤ哲学をその最高水準にまで押し上げ、アヴェロエス介してしばしの間イスラム哲学が西欧を席巻した季節である。これらと並んで輝きを放っているのが、西欧以外のキリスト教世界つまりピザンツ帝国の哲学であろう。しかし、ポティオスやプレトンについて我々は何を知らされているだろう。本書は、無視され、排除され、周辺化されてきた西洋哲学史に不可欠の部品を、それがあった場所に組み込もうとする中世哲学史である。全体の半分をラテン哲学以外の哲学(ユダヤ・イスラム・ピザンツ哲学)に割いた中世哲学史はかつて書かれたことがない。 こうした哲学史を構築するために、著者は「研究拠点の移動」という観念を発明する。水が大地のわずかな傾斜を見つけて己の進路を決めるように、哲学研究も己に最も適した環境を求めてつねに移動する。文献・翻訳の豊富さ、権力の庇護もしくは不介入、教会の寛容-そうした条件が哲学の水路を決める。ユスティニアヌス帝がアテナイのアカデメイアを閉鎖して古代哲学を終焉させた時、哲学者の亡命先はペルシア領のハラーンであった。中世哲学はその後ユダヤ人・イスラム教徒にリレーされて中近東・北アフリカを運ばれイベリア半島に上陸する。南欧から西欧へ、という我々が知っている西洋哲学の移動経路は確かに始点と終点に関しては間違っていない。しかし両者は地中海の周囲を時計回りに辿る迂路で結ばれているのである。それが忘れられた。この忘却には深い意味がある。そして、それを現代において想起することにも。 読者は本書を読んだ後でかならずや物事を少し違った風に考えるようになるに違いない。

内容説明

地中海周辺地域に光を当て封印されてきた中世哲学の全体像を初めて提示した注目の大著!キリスト教西欧の視点からは無視されてきたユダヤ、イスラム、ビザンツ哲学の全容がここに開示された。

目次

第1章 ビザンツ帝国における哲学
第2章 東方イスラム
第3章 西方イスラム
第4章 ユダヤの哲学
第5章 ラテン中世前期
第6章 11世紀
第7章 12世紀
第8章 13世紀
第9章 14世紀
第10章 15世紀

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

3
西ローマ帝国滅亡(476年)からコンスタンティノープル陥落(1453年)までの中世は10世紀に及ぶ。この時代に暗闇と残酷の印象を与えたのは17世紀から啓蒙の時代にかけてだ。一方、中世は、ビサンツのキリスト教世界にも、イスラム教世界もユダヤ世界にもあり、神や宇宙について各々論理の水準で議論し、互いにテクストを翻訳し合った。本書は、範囲を地中海周辺まで広げ、中世哲学をダイナミックかつ大局的な地勢図に載せて刷新する。話すとは?書くとは?考えるとは? これらの問いは主体からでなく神と宇宙との関係から考え抜かれる。2017/02/19

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