内容説明
エーゲ海の輝き、緑なす山と谷にたたずむ教会と遺跡、聖人を祝う祭りの響きと匂い、古代と中世の島のスケッチなど、華麗な筆致で描くダレルの郷愁のエーゲ海。
目次
第1章 地上の楽園
第2章 陽光の島、ロドス
第3章 聖デメトリオスの好日
第4章 太陽神の巨像
第5章 クレオルビュス荘の庭
第6章 消滅した都市
第7章 騎士の時代
第8章 ロドス内外あれこれ
第9章 ソロニの聖人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
12
引用ーー「エーゲ海はいまだに画家を待っている。みずからは知ることのない、清純な容彩をそなえたエーゲ海は、絵筆をもって自分を見つめ、気も狂わんばかりに自分を愛してくれる人を待っている」 引用が、適切かわからんが、幸福感と可笑しみと少しのセンチメンタルさが入り混じっていて最高。ちびちび読んでしまったことだけが悔やまれる。 一気読みを推奨します。2021/02/27
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7
'本書の目ざすところは「島中毒」の研究である。もっとも、一慣性もまとまりもないという形式上の欠陥がある。その点についてはご容赦ねがいたい。尻切れとんぼのおしゃべり、意気込んで計画したものの実行せずじまいになった旅行、メモをとり、調査をして用意万端整えながらも書かずに終わった著作、といったところである。’いわゆる、地誌、民話、伝説、戦史、歌謡などざまざまな断片に補強された紀行文。チャトウィンとかカプさんとか系列。サフォークのモノトーンに浸かっていた目にもロドス島の瑞々しい鮮やかさは心地よく感じられた。2013/02/06
ロピケ
2
著者の第二次大戦後のロードス島の追憶の本。エーゲ海限定の「島中毒」イギリス人患者たちは個性派ぞろいで面白いが、明るい太陽の下で暮らす地元ギリシャの人達もハチャメチャで可笑しい。ホイルという人物に親近感。131ページに出てくるへスター・スタナップ夫人と154ページのへスター・スタンホープ夫人は同一人物では?だとすると、短い滞在期間中に彼女の身に起こったことが気になる。へスターさんの滞在記がきっとイギリスでは、出版されているんだろう。Eとは、その後どうなってしまったのか?まったく気になることばかり。2011/07/12