出版社内容情報
【大連最後の日本人市長・別宮秀夫】ふたつの戦勝国の見えざる圧力に苛まれながら,憔悴のうちに死を選んだ別宮秀夫。その謎のベールを剥ぎ,“自決”の真相を明らかにする話題作。
内容説明
戦後国際政治の只中、敗戦のツケを一身に背負い、無言のまま逝った別宮秀夫。その自決の謎を明らかにする迫真のドキュメント!戦中・戦後の知られざる歴史の断片。
目次
第1章 内務官僚の道
第2章 満洲へ
第3章 大連へ
第4章 家族・愛
第5章 近衛文磨との縁
第6章 松岡洋右・大連春の嵐
第7章 謎の散歩
第8章 戦時下の大連
第9章 “その後”の戦い
第10章 中国人の大連で
第11章 祖国へ
むすび
関係年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
日露戦争後、日本が事実上の植民地として統治していた遼東半島先端の港湾都市大連の最後の市長となった別宮(べっく)秀夫の伝記。この大連という街は、満州国建国以前から日本が統治していたという事情もあり、満州国領土ながらも日本の直轄地のような特殊な立場だったため、その市長も日本人だった。市制も中国の情勢によって変化し、日中戦争勃発後には、それまでの民選市長から日本政府が指名する官選市長となり、その最初で最後の官選市長が別宮だった。別宮は苦学して内務官僚になり、大連市長に抜擢されたが、敗戦後悲劇的な最期を迎える。2023/06/27