内容説明
不況が長引き、景気の良い話をなかなか聞けなくなってから久しい。企業にとってはまさしく未曾有のピンチに直面し、今まで経験したことがない、あるいは、事態に対処するためのマニュアルにも全く記載されていないケースに向き合わなくてはならないことから、むしろ思い切った方策をとる例も見られる。財務の世界でも事情は同じで、日本企業にも、徐々に「グローバル・スタンダード」めいた姿勢が現れつつある。そしてそれは同時に、合理性や効率性、そしてフェアネスという、本来客観的に正しいとされていた判断基準が、実際に企業の意思決定に持ち込まれることを意味することになってきている。このたび、この増補改訂版・経営財務論を刊行するにあたり、章構成やいくつかの章の内容について思い切った変更を行った。それらは、前述の現象にも目配りしつつ、筆者の20年の教育経験に基づいた、学習者の理解に資するための考察によるものや、大学で経営財務を勉強するにあたって必要なもの、あまり重要ではないとの判断によるものなど、少なからぬ改変となっている。
目次
第1部 基礎的概念(現代経営財務の考察対象と企業の意思決定;企業経営とエージェンシー理論)
第2部 投資決定の理論(意思決定理論の基本問題;投資の経済計算の基礎;効用理論とリスクの下での意志決定;リスクの下での資本投資の意志決定)
第3部 資金調達の理論と配当政策(資本コストと最適資本構成の理論;配当政策)
第4部 経営財務論の今後の課題と日本企業の財務政策(経営財務論の今後の課題;日本的経営と財務政策;コーポレート・ガヴァナンスと企業体制)
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