出版社内容情報
フランス、パリに衝撃を与えた建築「新凱旋門」=ラ・グランダルシュ。
この建築の空間性、社会性、政治性を余すところなく描き、
文学作品へと昇華させたのは、サン=テグジュペリを大叔父にもつロランス・コセ。
新国立競技場、大阪万博と巨大建築に揺れ続ける日本人におくる、一大建築抒情小説。
「緻密にして壮大。この小説も一つの巨大な《アルシュ》だ」
――九段理江(『東京都同情塔』)
◆フランソワ・モーリヤック賞、建築書賞受賞作品◆
〈あらすじ〉
パリに計画された「テート=デファンス」の設計競技は、黒川紀章も審査員に名を連ねた国際的なコンペだった。242の案の中から設計者として選ばれたのは、名も知られぬデンマークの建築家、ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセンだった。きわめて純粋な立方体としてのフォルムをもつこの建築は、実現が容易ではなかった。この建築を気に入り、自らのシンボルにしようと情熱を注ぐ時の権力者、フランソワ・ミッテラン。自身の案は落選したが、フランス側の建築家としてこの案を実際に建設したいと協力するポール・アンドリュー。さまざまな人物の思惑がうごめく中、建設計画は進んでゆく。当のスプレッケルセンは、デンマークとあまりに違うフランスの考え方に戸惑いながらも、自身の信念を貫き通そうとするが……
内容説明
世界的な国際設計競技を経て、パリの新名所として計画された「テート=デファンス」の設計者として選ばれたのは、名も知られぬデンマークの建築家、ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセンだった。過剰な端正さを求められるこの建築をなんとか実現させようとするポール・アンドリューと、この建築を気に入り自らのシンボルにしようと情熱を注ぐ時の権力者、フランソワ・ミッテランほか、さまざまな人物の思惑がうごめく中、建設計画は進んでゆく。当のスプレッケルセンは、デンマークとあまりに違うフランスの考え方に戸惑いながらも、自身の信念を貫き通そうとするが…。パリを彩る名所「新凱旋門」=“ラ・グランダルシュ”。この建築が生まれるまでの壮大な過程を、サン=テグジュペリを大叔父にもつ著者が描き切る。新国立競技場、大阪万博と、巨大建築に揺れ続ける日本人必読の傑作建築小説。
著者等紹介
コセ,ロランス[コセ,ロランス] [Coss´e,Laurence]
1950年生まれのジャーナリスト、文芸評論家、小説家、劇作家。アントワーヌ・ド・サンテグジュペリは大叔父にあたる。小説Les Chambres du Sud(1982)でサント=ブーヴ賞、アリス=ルイ・バルトウ賞、Le Coin du voile(1996)でジャン・ジオノ賞、ロラン・ド・ジュヴナル賞、カトリック作家賞、Le 31 du mois d’ao^ut(2003)でシネ・ロマン・カルト・ノワール賞。本作でフランソワ・モーリヤック賞、建築書賞を受賞。2015年には全業績に対してアカデミー・フランセーズ文学大賞を贈られた
北代美和子[キタダイミワコ]
翻訳家・日本文藝家協会会員。上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻修士課程修了。日本通訳翻訳学会理事、日本通訳翻訳学会会長を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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