映画を追え―フィルムコレクター歴訪の旅

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映画を追え―フィルムコレクター歴訪の旅

  • 山根 貞男【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 草思社(2023/02発売)
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  • サイズ 46判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794226143
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0074

出版社内容情報

 戦前の日本映画のフィルムは一説によると一割ぐらいしか残っていないという。映画は一時の消費娯楽とされ、見終わったら廃棄されてきたからだ。全国津々浦々の場末の映画館まで上映が終わると、一様にジャンクされてきた(文字通り刻んでつぶされたり、別の工業資源に使われたりした)。その結果、欧米の各国に比べて、日本映画の保存率は低く名画と言われるものも残っていない。小津安二郎監督や溝口健二監督といった有名監督のサイレントの初期作品はほとんど残っていない。山中貞雄という天才監督も『人情紙風船』『丹下左膳 百万両の壺』『河内山宗俊』の三本しか残っておらず、『抱寝の長脇差』ほか名作は名前のみ知るばかりだ。

 こうした映画収集や保存は国立フィルムセンター(現在はフィルムアーカイブ)が担ってきたが、それ以上に見逃せないのは古フィルムの収集家、言い換えると一種の「オタクたち」、コレクターの存在だ。

 本書は1988年に『突貫小僧』という小津監督作品が著者の知人のコレクターの手により発掘されてからの30年にわたるコレクターたちとのつきあいや古い映画発掘にかかわった体験記である。『突貫小僧』は1929年度作の15分ぐらいのサイレント喜劇で、九・五ミリのパテベビーという、子供向けのおもちゃフィルムとして古道具屋経由で残っていた。小津の初期のサイレント作品はほとんど残っていないだけにこれは貴重な資料である。著者は修復された『突貫小僧』の上映会を1990年に行って以降、関西の「神戸映画資料館」の安井喜雄さんなどと連絡を取りながら、多くのコレクターを訪ねて彼らの人となりやマニアぶりを取材して歩いた。コレクターたちはみな個性的で独自の映画愛にあふれていた。とくに圧巻は第五章で語られる「生駒の怪人」安部善重さんで、生駒近くの廃駅のホームに住んで膨大なフィルムを持っていると噂されるコレクターである。ここに何年も蓮実重彦氏なども巻き込んで交渉に通い、最後には安部さんの死によって「幻のコレクション」は幻のままに消えた話などは怪談話めいた面白さである。第六章はロシアまで行って、旧満洲国から接収されたフィルムの調査に携わる。

 著者はフィルムがどのように残ってきたかを多様な面から探っている。閉鎖された映画館の倉庫、旧家の土蔵、がらくた市の古道具の中に、あるいはマニア間の秘密の情報ルートを通じて、失われたと思われていた「幻の映画」が発見されることがある。今もそれはどこかに眠っているとも言える。古い映画の保存・収集について別の面から光を当てた興味深い読み物である。 

内容説明

失われた初期作品、小津や溝口や山中貞雄はどこにある?1988年、小津安二郎監督の『突貫小僧』が知人のコレクターによって発見されて以来、従来失われたはずの名画が思わぬところから出てきた。マニアやコレクター、伝説の生駒の怪人、また接収されてロシアにあるフィルム等を訪ね歩いた30年。映画の保存と発掘の話。

目次

第1章 民間最大のフィルムアーカイブ
第2章 神出鬼没のフィルムコレクター
第3章 フィルムコレクター歴訪 一九八八~九二
第4章 映画はさまざまに蘇る
第5章 生駒山麓の伝説のコレクター
第6章 ロシアへの旅

著者等紹介

山根貞男[ヤマネサダオ]
1939年大阪生まれ。映画評論家。大阪外国語大学フランス語科卒。加藤泰、マキノ雅弘など日本の大衆映画を評価。1986年以来キネマ旬報に日本映画時評を連載。2001年~2008年東海大学文学部文芸創作科教授。内外の映画祭の企画に携わる。2021年『日本映画作品大事典』(三省堂)を編集して、日本映画ペンクラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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どんぐり

81
当初このルポルタージュ本は、1990年末に出版を予定していたもので、2023年に刊行された。その直ぐあとに映画評論家の山根貞男は亡くなり、本書が著者の遺作となってしまった。フィルムコレクター歴訪の旅は、民間最大のフィルムアーカイブを有する神戸映画資料館の安井喜雄さんに始まる。次いで小津安二郎の『突貫小僧』のフィルムを保有するコレクター、生駒山の伝説フィルムコレクター故・阿部善重さん、元東大総長の蓮實重彦との戦前・戦中の日本映画フィルムを調査するロシアの旅へと続く。→2023/05/07

garth

10
「あの人は持っていますね」生駒のコレクターこと安部氏の真実ははたして。「いま思えば、二十二年もかかった映画事典と三十二年も遅れた本書とは、わたしにとって双子の子供のようなものである」2023/03/06

ワタシ空想生命体

2
「生駒の伝説のコレクター」安倍善重さんの話が面白い。果たしてホラ吹きだったのか。ホラ吹きだとしたら目録まで作ってるのは凝り性だなと。当初は話を真にうけなかった蓮實重彦も実際に会うと「あの人は持ってますね」と確信してしまう。たとえホラ吹きだとしてもそのくらいの魅力に満ちたひとだったのだろうか。2024/03/21

hata2

1
フィルムコレクターの全員がそうとは言えないと思うが、一般的な映画好きとは違う世界の人たちという感想で、集めている作品の話よりも、フィルム売買の話の方が印象に残る。ロシアのゴスフィルモフォンドのエピソードはどこかで読んだ気もするのだが、もっと短い原稿だろう。2023/04/02

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