出版社内容情報
「王舎城の悲劇」は息子が父の王位を奪うという二千五百年まえの事件です。
「観無量寿経」や「華厳経」といった著名な仏教経典だけでなく、
ジャイナ教の経典にもでてきますから、
インドでは大変な事件だったということがうかがえますな。
なぜ父を殺してまで王位を奪おうとしたのか、母はそのときどうしたのか、
そして王位を奪った息子はその後どうなるのか――。
この事件にはお釈迦さんが登場してまいります。
お釈迦さんの甥で、お釈迦さんを殺して教団をのっとろうとする
悪役僧侶のダイバダッタ(提婆達多)も登場する。
人間が普遍的にかかえる欲望と苦悩がこの事件にあることから、
今日的テーマでもあります。
わたしたちがいまを生き、これからを生きるうえで、
かならずや人生の灯明になるのではないかとおもうしだいであります。 (本書「第一回講義」より)
苦しみの果てに「救われていく道」がある――。
古代インドで起こった事件「王舎城の悲劇」についての公開講座を舞台に、
老僧侶と四人の受講生がおりなす味わい深い物語。
《苦悩の本質を、お釈迦さまがときあかす》
という言葉に惹かれて集まった悩み多き受講生たちは、
仏典が伝える愛憎の物語をどのように受けとめたのか?
軽妙な問答の中から浄土真宗の根本思想が浮かび上がる出色の仏教小説!
内容説明
古代インドで起こった事件「王舎城の悲劇」についての公開講座を舞台に、浄土真宗の中心テーマに迫る味わい深い物語。「苦悩の本質」をときあかす。
目次
第1回講義(仏教はなにを説いているのか;“四門出遊”の伝説 ほか)
第2回講義(お経の役割;生まれるまえから恨みをもつ者 ほか)
第3回講義(反省するのも「欲」;「物語におけるリアリティ」とはなにか ほか)
第4回講義(投獄された父王;釈迦の沈黙 ほか)
第5回講義(幽閉されたイダイケ;無言の説法 ほか)
第6回講義(自己都合で生きてきた自分;いまここで救われていく道がある ほか)
著者等紹介
向谷匡史[ムカイダニタダシ]
1950年、広島県出身。拓殖大学卒業。週刊誌記者などを経て作家。浄土真宗本願寺派僧侶。保護司。日本空手道「昇空館」館長。人間社会を鋭くとらえた観察眼と切れ味のよい語り口に定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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