内容説明
雨かんむりの漢字の一群は漢字の成り立ちを知るためには典型的で格好の一群でもある。なにせ雨は古来、人々の上に降っていたのだから。「霽れる」という字は「晴れる」よりも古くからあった。これは漢字の呪術的起源と関係がある。「零」はなぜ「0」を意味するようになったか―など「霙」「霜」「雷」から「霹靂」「霍乱」まで、さまざまなエピソードで解き明かす無類に面白い漢字エッセイ。
目次
1 雨の章(天から降るものは何もかも雨;三日続けば霖、一〇日だと霪?;涙はこぼれて零になる;霤と反逆者たちの系譜;永遠の命は露とともに;鬼の霍乱と男装の麗人)
2 雲の章(雲は空想力をかき立てる!;深い霧のその中で;霞の色はどんな色?;大地に霾が吹き荒れて)
3 雷の章(雷は激しく鳴り、電は鋭く光る;大地が震えるそのわけは?;霹靂という名のハイテク・カー)
4 雪の章(すべてを雪に流しましょう;歴史の雹と文学の霰;わびしい霙の美しさ;厳しさは秋の霜のように)
5 晴れの章(神よ、明日は霽れますか?;薄くてはかない霓の魅力;幽霊と需要と舞〓の台)
著者等紹介
円満字二郎[エンマンジジロウ]
1967年、兵庫県西宮市生まれ。大学卒業後、出版社で国語教科書や漢和辞典などの担当編集者として働く。2008年、退職してフリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
51
雨を部首とする漢字にテーマを絞っていて、自然との関係と、そこから生まれた発想・考え方が興味深い。雨に関係した字から感じ取って、思い浮かべるのは、湿潤で温暖な気候。日本でもおなじみの水墨画の世界のイメージ。ところが、これは中国史を学んで思い浮かべるイメージとは、かなりズレているように感じられる。その理由は、三国時代以後、乾燥した北方から湿潤な南方に移住した人々によって新たに発見された「美」であるからだという。そういわれて検索してみたら、「桃花源記」を書いた陶淵明も長江に近い南方が故郷。うーむそうだったのか。2021/12/13
rikoxyma
1
「だれだって、雨にまつわる思い出を一つや二つ、持っていることだろう」2020/09/02
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