出版社内容情報
人類はいかにエネルギー資源を見出し利用してきたか。400年にわたる発見・発明の変遷史を数多の人間たちの苦闘の物語として描く。ピュリッツァー賞受賞者の力作。
内容説明
人間はこの地球からどのようにエネルギー資源を見つけだし、どのように利用してきたのだろうか。発見、発明、発展、そして立ちはだかる難題…。エネルギーの変遷をめぐる「人間」たちの物語。『原子爆弾の誕生』のピュリッツァー賞作家最新作。
目次
第1部 動力(薪;石炭;大気圧蒸気機関 ほか)
第2部 照明(石炭ガス;ガス灯 ほか)
第3部 新しき火(原子炉;原子爆弾;ウラン235 ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
167
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。リチャード・ローズおよびエネルギー関連の書籍は初読です。薪⇒石炭⇒(鯨)⇒石油⇒天然ガス⇒ウランと時代は変遷するも、エネルギーを求めて過去からの遺産を食い潰している現状は変わらず、地球の自然環境を悪化させ続けて、人類はどうなるのでしょうか?この本には過去の教訓はあるものの、明るい未来はありません。2019/09/04
trazom
69
エネルギーに関する読物としては、ダニエル・ヤーギンさんの一連の著作が秀逸だが、この本も、それに劣らず面白い。「動力」「照明」などと、需要サイドからの章立てはユニーク。「照明」で、鯨油・鯨蝋や獣油に視野が広がり、単なる化石燃料史でない深みが生まれる。具体的なエピソードが豊富で、ワクワクする臨場感に満ちた一冊である。ただ、「資源の枯渇と人口爆発」という今日的課題に「新マルサス主義か原子力か」という問題同定は、いかがなものか。あえて、ガボンの天然原子炉を取り上げていることにも、意図的なものを感じてしまう…。2020/07/25
アナクマ
38
1章。エリザベス1世のイングランドは木の王国。木材調達はニューイングランドまで拡大。◉19章。環境保護運動は新マルサス主義(人口増加に対する恐怖、憎悪?)を内包しているのに、その人数に自分たちは入っていない、とくさす。◉20章。マルケッティのグラフ「ひとつのエネルギー源が市場の半分を占めるまでに1世紀かかり、それらが半世紀ごとに入れ替わる説」は初見?。「だが、100億人が繁栄を維持していくには、あらゆるエネルギー源が必要になるだろう」が結論。「繁栄」とは「人間の苦しみを軽減するたゆみない進歩」との由。2019/09/12
かんやん
30
大著。タイトル通りの内容だけれど(馬や捕鯨の話もある)、著者は文系じゃないのかな。専門家ではなく、いかにも一生懸命調べました的な本で、技術の詳細よりも技術者の物語。そういう意味では面白く読めました。新たなエネルギー源が受け入れられるのに時間がかかるのは、インフラやそれに必要な技術が追いつかないのと、人々の意識の問題もある、と。一定の周期で一次エネルギーが変遷しているというグラフがあり、この通りになるのなら、原子力利用もいずれ廃れてゆくのだろう。まあそりゃ、そうだろうなと思わされる。2025/04/25
六点
20
石炭から始まり、原子力、再生可能エネルギーに至るまで。人類がその文明を現在にまで、そして、予見できる未来に至るまで頼り続けるであろう「資源」の物語である。「悪魔の排泄物」と呼ばれた石炭から、環境保護派の感情的な反発を受ける原発、そして頼りにならない自然エネルギーまで、社会に受容され、使いこなされるまでの苦難たるや、想像を絶するものがある。IAEAの報告書を引用し、原発の恐怖が如何に誇張されたものであるか、そして、核廃棄物の処理に掛かるコストの巨大さとバランス感覚に富んだ著者のヒューマニズムに心が洗われた。2020/08/23
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