出版社内容情報
詩人であり作家・翻訳家(小笠原豊樹)でもあった著者による、これぞ読書、という読書論。本から本へ、忘れられた作家から未知の傑作
内容説明
せっかく買った本をなぜ読まないのか。いくたび自問してもなかなか確かな答えは出てこない。なぜ本を手に入れて読もうとするのか?そもそもなぜ本なのか?それでもひとたび読み始めれば、憑かれたように読みふけってしまう本の引力とは。劇作家エルマー・ライスの書いた処女小説との邂逅、数十年を経て明らかになったピーター・イベットスンの正体―。本から本へ、奇書から名著へ、思いのままに渡り歩く日々。詩人・作家であり、稀代の読書家である著者が本と巡り会い、本を味わうことの楽しみを綴る。
目次
渡り歩き(幻灯機;ピュリリア ほか)
箸休め(亡霊の消滅;五十年 ほか)
渡り歩き(続き)(レクイエム;裸馬と裸女 ほか)
雑談(あるインタビューから;毒蛇の袋)
著者等紹介
岩田宏[イワタヒロシ]
1932年、北海道生まれ。2014年没。詩人、作家、翻訳家。『岩田宏詩集』で藤村記念歴程賞。小笠原豊樹名義での翻訳書も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェアー
13
演劇や外国文学に詳しくないと、ちょっと退屈なエッセイが多い(無知なこちらが悪いのだが)。それでも、巻末に収録されていた「北村太郎の会」での挨拶を起こした文章はよかった。北村太郎のことを語っているようで語っていないようで、茫洋としているけど、実は核心をついているのではと思わせる文章だった。この本は一度読んでみたかったので、読めてよかった。マヤコフスキーなんて、ちょっと読んでみたくなった。2019/09/25
Inzaghico (Etsuko Oshita)
3
岩田が学生だった頃は教養が重視されていたんだなあ、と思うようなラインナップ。英文学はもとよりロシア文学、フランス文学、ドイツ文学を原書で読んでしまうのだから恐れ入る。エルンスト・トラーというドイツの劇作家の作品を英語とドイツ語の両方で読んで、その異同がやはり大きな違いとなり、ドイツ語で読んでよかったと言っているのにはひれ伏してしまう。このくだりに「植草甚一風にコーヒーを啜り煙草をふかしながら……」とあったのには、にっこり。こんなところでJJおじさんの名前が出てくるとは思わなかった。 2019/02/24
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