出版社内容情報
敗戦の年の社会の動きを日を追いながら詳細に描き、太平洋戦争の意味を問い直す鳥居民のライフワークノンフィクション。米も塩も石炭もない。海上輸送は壊滅状態となり、航空機の生産は水増しして発表される。新官僚たちが作った「国力ノ現状」の報告書を中心に6月初旬の日本を描く。
【著者紹介】
1928年(昭和3年)、東京牛込に生まれ、横浜に育つ。水産講習所を経て台湾政治大学へ留学。台湾独立運動に関わる。現代中国史、日本近現代史研究家。主な著書に『昭和二十年』(既刊13巻)『毛沢東五つの戦争』「反日」で生きのびる中国』『原爆を投下するまで日本を降伏させるな』(いずれも草思社刊)など。本書執筆には1975年ぐらいから準備し40年ほどを費やした。親左翼的な史観にとらわれていた歴史研究に、事実と推論を持って取り組む手法で影響を与える。2013年1月急逝。享年八十四。
内容説明
5月31日、美濃部、迫水、毛里らの経済官僚は御前会議のために「国力ノ現状」をまとめようとする。石炭、鉄鋼、航空機生産、塩や大豆など、資源の危機的状況が浮き彫りにされる。朝日新聞ベルリン特派員守山の敗戦ドイツのレポートを識者たちはどう読んだか。広田は箱根強羅でソ連大使マリクと何を話したのか。政府内では内大臣木戸を逐おうとする動きが潰され、木戸は初めて終戦への政局転換の必要性を認識するに至る
目次
第26章 「国力ノ現状」アルミの生産は、航空機はどれだけ(五月三十一日~六月四日)(「国力ノ現状」北海道の石炭はいつまで;米内光政と松平恒雄が木戸解任に動く;チャーチルが「十対一だぞ」と警告したのだが ほか)
第27章 「国力ノ現状」毎日なにを食べているのか。大豆が頼りなのだが(六月五日)(守山義雄の特電「ついに奇蹟は起こらなかった」;志賀直哉、南弘、守山の報告にそれぞれ思うこと;「国力ノ現状」日記に記すのは食糧のヤミ値、ごくたまのご馳走 ほか)
第28章 梅津、米内、鈴木、木戸はなにを考えるのか(六月六日~八日)(「今後採ルベキ戦争指導ノ大綱」を決めねばならないのだが;いったい参謀総長はなにを考えているのか;梅津美治郎が考えていたこと ほか)
著者等紹介
鳥居民[トリイタミ]
1928年(昭和3年)、東京牛込に生まれ、横浜に育つ。水産講習所を経て台湾政治大学へ留学。台湾独立運動に関わる。現代中国史、日本近現代史研究家。2013年1月急逝。享年84(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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