草思社文庫
竹島密約

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  • サイズ 文庫判/ページ数 312p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784794219534
  • NDC分類 217.3
  • Cコード C0131

出版社内容情報

1965年6月22日、14年におよぶ交渉が妥結し、日韓の国交正常化が実現した。その5カ月前、交渉の最後の難問だった竹島(独島)問題が、河野一郎国務大臣と丁一権総理の交わした密約をもって決着をみた。それは「解決せざるをもって、解決したとみなす」との「棚上げ」策を骨子としていた。岸信介・池田勇人・佐藤栄作、李承晩・朴正熙の日韓の歴代政権は、公式・非公式の交渉をどのように進めたのか。裏の交渉を担った大野伴睦、河野一郎、矢次一夫、児玉誉士夫、金鍾泌ら日韓の政治家、フィクサーはどう動いたのか。韓国政府公開の新史料と関係者の証言を駆使して、密約合意にいたる全プロセスを描き、金泳三政権がなぜこれを受け継げなかったのかをも鋭く考察した力作ドキュメント。

【著者紹介】
1954年、ソウル生まれ。ソウル西江大学卒業。米マークェット大学で修士号(国際政治学)、MITで博士号(政治経済学)を取得。89年、政府‐企業関係論をテーマとする博士論文作成のため、国際交流基金フェローとして来日。一橋大学、科学技術政策研究所等で研究。香港科技大学助教授、中国人民銀行客員教授を経て、日本および外資系企業の経営・投資コンサルティング業に従事。2006年より、韓国『月刊中央』誌の客員編集委員として健筆をふるう。

内容説明

「解決せざるをもって、解決したとみなす」。1965年、竹島(独島)問題を棚上げする密約が河野一郎国務大臣と丁一権総理の間で交わされた。交渉に関わった岸信介・池田勇人・佐藤栄作、李承晩、朴正煕の日韓両国の歴代政権、その裏で動いた大野伴睦、河野一郎、矢次一夫、児玉誉士夫、金鍾泌らフィクサーたちの動向を捉え、密約に至った全プロセスをたどる。そして金泳三政権以降、密約が反故にされた理由とは?アジア・太平洋賞大賞の力作ドキュメント。

目次

プロローグ 「未解決の解決」はなぜ成立したのか
第1章 暗中模索の時代
第2章 叔父と甥の対日外交
第3章 新しい日韓ロビー
第4章 竹島密約
第5章 二つの喪失
エピローグ 先人の「知恵」をいかにして受け継ぐか

著者等紹介

ダニエル,ロー[ダニエル,ロー][Daniel,Roh]
1954年、ソウル生まれ。マサチューセッツ工科大学政治経済博士(PhD)。日本政治経済を専攻して、日本では、一橋大学、科学技術政策研究所、未来工学研究所などで研究。学界では、香港科技大学の助教授を経て、中国人民銀行研究生部、上海同済大学、国際日本文化研究センターで客員教授を歴任。経営及び投資コンサルティング業に携わりながらアジアの政治経済、歴史に関する執筆活動を継続中。『竹島密約』で第21回アジア・太平洋賞大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Willie the Wildcat

55
時勢の優先度。国交が無い中での判断。明らかな問題の先送りか、はたまた次世代に選択を委ねたと解釈すべきか。1965年の日韓漁業協定も結局、「人変われば立場変わる」リスクは不変。惜しむらくは大平氏の国際司法裁判所への提訴断念。記録、文字がなければ解釈も自由。「合理的選択」にはやはり違和感。善人説の日本に対する強かさの韓国。SF講和条約などの転機を活かせなかったことや、大野氏の死去などの政局の転機。今後の転機の活かし方を活かせる政治家の登場を期待するしかないのか・・・。これこそ問題の先送り感。2016/07/29

リキヨシオ

21
日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)には「解決せざるをもって、解決したとみなす」という「竹島密約」があったという。国交正常化の為に領土問題の解決を永久に棚上げしたこの密約ができた時代背景について、そして何故現在密約の効果がなくなり領土問題がここまで長引いてしまったのか?日本の「機能主義、現実主義」と韓国の「歴史主義、名分主義」の思考パターンに陥っていて先延ばしにした問題解決が難しくなり白黒つける事自体が危険という段階になった。そもそも竹島問題の解決とは何なのか?様々な角度から考えさせられる一冊。2018/01/30

coolflat

7
竹島密約とは、1965年1月に河野と丁の間で結ばれた日韓基本条約における密約である。密約では竹島の扱いを「棚上げ」にした。これは尖閣の棚上げより30年以上先駆けるものだった。「竹島密約」の公文書は、韓国側では焼却され(たことになっ)ており、日本側は存在しない(ことになっている)。韓国の軍事政権下までは竹島密約は守られていたが、文民政府樹立により、当時の関係者が密約文書を焼却。また体制変換により密約の精神の引き継ぎが失われる。これら「紙」と「精神」、二つの喪失により、現在、領土問題が起こっているわけである。2014/11/06

YUTAKA T

6
まず日韓国交樹立までのいろいろな裏話を知れて良かった。そして竹島密約についてであるが、竹島密約によってもたらされていた平和を高く評価するようにこの本は書かれている。しかし、竹島周辺の海域を韓国と日本との共同水域として設定したことと、韓国は竹島に現状以上の施設増設を行わないことは、日本の立場から考えると竹島を完全な韓国領土にさせないギリギリのストッパーの役割だったが、韓国からみると日本に妥協したもので金泳三政権には竹島密約が伝わらず守られなくなったのも、韓国の国際的地位の高まりゆえ必然的な流れだと思った。2022/03/26

月式

2
朝鮮戦争渦中の1951年から日韓基本条約が締結される1965年までの14年間・1500回以上の会談を費やして達成した国交正常化とその陰に潜む「竹島密約」を、当事の関係者や日韓双方の記録を元にスポットライトを当てたドキュメンタリー。韓国人である著者が、非常に冷静な視点で日韓の熾烈な交渉の経緯を記録している点に敬意を覚える。先人達が知恵を絞り産み出した密約を、金泳三政権以降引き継ぐ事が出来ず尚且つ世論の激しい突き上げに反日強硬政策をとらざるを得ない韓国の在り方が寂しい。2013/05/23

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