出版社内容情報
百姓の自己主張はすごかった!
江戸時代の百姓は、武士に支配されるだけの「もの言わぬ民」ではなく、自らの利益を守るためにはどんどん訴訟を起こしました。原告・被告の百姓たちの猛烈な自己主張に対し、武士は、原告・被告双方が納得する判決を下さなければ、支配者としての権威を保てません。裁判は、武士にとっても緊張を強いられる場だったのです。希少な裁判資料に基づき、百姓と武士のリアルな駆け引きを描く。
・「三権分立」が存在しなかった江戸時代
・法典の内容は、百姓には知らされなかった
・女たちの「駆け込み訴え」の実態
・刑罰の重さは身分によって違った
・自白を得るための拷問――磔、のこぎりびき、火あぶり
・名奉行の条件
・武士はなぜ百姓に「和解」を強制したのか
・判例を学び、訴訟技術を身につける百姓たち
・武士はなぜ「判決当日」を恐れたか
・「無礼討ち」に苦しめられる武士たち
【著者紹介】
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。国文学研究資料館助手を経て、現在、一橋大学大学院社会学研究科教授。今日の日本の基礎を築いた江戸時代の百姓の営みに、常に寄り添いながら研究を重ねている。著書に『百姓たちの幕末維新』(草思社)、『百姓たちの江戸時代』(筑摩書房)、『東西豪農の明治維新』(塙書房)、『百姓の力』『百姓の主張』(柏書房)などがある。
内容説明
江戸時代の百姓は、武士に支配されるだけの「もの言わぬ民」ではなく、家を守り、村をよくするためには果敢に訴訟をおこした。それを裁く武士も、原告・被告の百姓が納得する判決を下さなければ、支配者としての権威を保てなかった。本書では、江戸時代の訴訟・裁判を概観しつつ、信濃国の松代藩真田家領内でおきた百姓の訴訟を取り上げ、騒動の始まりから判決までの全過程をつぶさに解説。百姓と武士の意外な関係を明らかにする。
目次
第1部 江戸時代の「訴訟と裁判」とは(江戸時代の法と裁判;刑罰の実態;名奉行の条件;非合法の訴訟―越訴;目安箱と村々の「法」;領地をめぐる村々の争い)
第2部 信濃国の松代藩真田家文書に残された百姓たちの騒動記―百姓たちが二派に分かれ激突。彼らは何を主張し、それを武士はどう裁いたか。(名主の選挙をめぐり、義兵衛派と弥惣八派が激突;武士による吟味と、弥惣八派の瓦解;明るみに出る、義兵衛派の村財政私物化;評定所での判決と、その後)
著者等紹介
渡辺尚志[ワタナベタカシ]
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。国文学研究資料館助手を経て、一橋大学大学院社会学研究科教授。今日の日本の基礎を築いた江戸時代の百姓の営みに、常に寄り添いながら研究を重ねている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たつや
maito/まいと
Takahashi
転天堂
三月うさぎ
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- 電子書籍
- 日経トレンディ 2014年 07月号