内容説明
武士は兵法の道を確かに会得し、そのほか武芸によく励み、武士の修行すべき道(文武両道)に精通し、心迷うことなく、常に怠ることなく、心・意二つの心を磨き、観・見二つの目を研ぎ、少しも曇りなく、迷いの雲の晴れわたったところこそ、実の「空」と知るべきである(空の巻)。最も古く最もオリジナルに近い福岡藩吉田家伝来の書を底本に、原典に忠実な現代語訳決定版。剣豪・宮本武蔵の兵法の奥義と哲学が時代を超えて現代によみがえる。
目次
『五輪書』現代語訳
『五輪書』原文
解題 福岡藩家老吉田家旧蔵『二天一流兵法書』について(大倉隆二)
著者等紹介
大倉隆二[オオクラリュウジ]
1948年、熊本県玉名市生まれ。関西学院大学文学部美学科卒業。八代市立博物館館長を経て熊本県立美術館勤務。2008年3月、同館副館長を最後に定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むらきち
13
〝強さ〟とは、技術的にも思考的にも変化に対応できることであり、情報収集と分析は常に怠らず、先手を取ることが重要で、すべては最終目的のための行動でなければならない。柔軟さを養うためには武術以外の「道」を知ることを推奨するという徹底ぶりで、自身だけでなく敵味方の思考や心の重要性を何度も強調しています。実際、最近になって「心」の差が、組織的な戦果にも大きく影響を与えることが分かってきてます。俯瞰、分析、柔軟に対応する。戦いに関すること以外にも、個人にも組織としても、この本から学ぶ点は多いのではないかと思います。2021/08/25
ミヤト
7
『宮本武蔵』を読みつつ本書にも手を伸してみる。読んだだけでは身につかないようなものだった。これを読んで『宮本武蔵』を読むとまた見え方が変わってくる。短いが濃い教えが詰まっていた。何度も再読することになりそうだ。2022/08/23
nakagawa
6
現代語訳で非常に読みやすかったです。兵法のことが書かれている書物ですが現在の我々でも学び応用すれば色んなところで活かせるのではないかと思いました。剣道をしている人には必読書かもしれません。原文は全く読めなかったので読み飛ばしました笑2017/06/27
エドバーグ
5
敵を含んだ環境をよくよく観察して、最も適した対応すべしを指南した本だと思いました。対応するために鍛錬が肝要といっています。環境に最も適応した生物が生き残った歴史と相通じている。 一方では、環境を打破したアップルやヤマト運輸もあるのも事実だと思います。この辺 よく考えたい。2021/03/30
Hiroshi
5
宮本武蔵が創始した二天一流の兵法書。通称「五輪書」、正しくは「二天一流兵法書」と呼ぶべきものだ。原本は焼失したと伝えられている。写本のなかでも寺尾孫之丞→柴任三左衛門美矩→吉田実連と伝来の確かさがある九州大本を底本としている。兵法を地・水・火・風・空の5巻で説明する。①「地の巻」は兵法の道の概略。先ず二刀流から。戦いで命を捨てるときは、持てる武器を残さず役に立てたい。右手で太刀、左手で脇差、弓、鑓等の武器を持つ。だから両手で太刀を構えるのではなく、片手で振れと。太刀は兵法の根元だ。武具も使い分けが大事だ。2019/11/10
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