内容説明
1955年、初代クラウンが登場した年、ぼくは運転免許をとった―戦後、次々と登場した国産車のほとんどに同時代として乗りまくった著者の体験的自動車史。スカイライン、スバル1000など、かつて日本の自動車産業が無謀なまでの情熱にあふれていた時代に産みだされた国産名車が続々登場。「クルマはその国の国民性を体現したクルマになる」と語る著者。いま大きな変革期にある自動車の行く末を見極めるためにも、来し方をじっくり振り返れる貴重な一冊である。
目次
第1章 すべてはクラウンから始まる
第2章 国産車の方向は決定された
第3章 BC戦争の始まり
第4章 ぼくの乗った軽自動車たち
第5章 消えてしまったクルマたち
第6章 サニーはなぜカローラに負けたのか
第7章 スポーツカーこそわが命
第8章 『間違いだらけ』を出してから
著者等紹介
徳大寺有恒[トクダイジアリツネ]
1939年、東京生まれ。成城大学経済学部卒。生来の自動車好きが高じて、レーシング・ドライバーから自動車評論家に。76年刊行のベストセラー『間違いだらけのクラマ選び』(草思社)で日本のクルマ社会に一大衝撃を巻き起こす。社会的、文化的な側面からクルマを捉えるクルマ批評は、多くの読者を獲得している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ウチ●
4
随分久しぶりに徳大寺さんの本を読んだ。著者を知らない方があったら失礼ながら、写真から受ける印象は不敵な、胡散臭い印象を受けるかも知らない。が、それは、当たらずとも遠からず。クライマックスの第七章「スポーツカーこそわが命」でブッ飛んだのはマツダのロータリー興隆期に「このエンジンをヨーロッパに積んだら凄い車ができますよ!」と英ロータス社に売り込み、試作の話までまとまったとか・・・。日本GPでの活躍譚や神風タクシードライバーだった話など、凡百の自動車史を寄せ付けぬ深くて痛快な徳大寺人間史に仕上がってます!2013/01/29
Mitsuhiro Uji
2
著者の個人史に密着した戦後日本自動車史。トヨタの覇権確立こそ日本の消費者の意識と密接に関係していたことがよくわかる。商品の技術的レベルの高さも、受け入れる消費市場がなければ、意味がない。今も昔も良い商品と売れる商品の違いにメーカーは悩む。そうしたなか、一度決めた路線は徹底するトヨタの粘り強さが成功の秘密だった。そうした現実を受け入れながらも、登場するのが早すぎた、あるいは受け入れられなかった名車へのオマージュを含む著者の筆致に好感を持った。2013/09/25
YUJIRO
0
モータージャーナリストの著者が、今まで見聞してきた自動車を当時を回想しつつ、批評していく構成。自分の気に入ったクルマが絶対で、その感性が分からない日本の大衆やメーカはダメという内容。あるところでは、「性能だけで外見がダメなのでダメ」とあるのに、別のところでは逆のことが書かれていることが多々あり、主張に一貫性がなく、説得力に欠けるにも関わらず、「上から」の評論になっており、正直読んでいてイライラすることが何度もあった。本人が自動車が大好きというところだけは伝わってきた。2018/07/27