出版社内容情報
家族離散の可能性、永遠の生き別れに遭遇する
不安と苦痛は計り知れない!
かつてアメリカの奴隷制下で家族を失ったことは、
アフリカ系アメリカ人たちに重くのしかかった。
それは想像できるものではなかった。
汚れなき者への冒?であった。
子供たちが徐々に学んだように、奴隷であるがゆえに人は、
売られるがままとなるしかなく、親や兄弟姉妹や夫や妻や家族を
失わないようにするための権限をもつこともなく無力であった。
人びとは喪失という経験を忘れず、その苦しみをもたらした特定の
個人の権力と奴隷制度の威力を忘れなかった。
家族が離散させられる可能性、さらにはその現実が、
奴隷制下にある黒人たちの生涯に幽霊のようにつきまとった。
奴隷制が廃止された後も、その苦しみの記憶は消えなかった。
本書は、家族から強制的に引き離された「奴隷」たちが
「人」としていかに悲しみ悩み、
それでも生きてお互いを求め続けたか、
「人の絆」を活き活きと描き、歴史のなかに生きた人びとの
生の言葉を通して現代に問いかける名著である!
【収録内容】
はじめに
第一部 離 散
第一章 「丈夫な少年を売ります」──
奴隷とされた子供たちの別れと喪失
第二章 「神によって結ばれた二人を何者も別れさせてはならない」
──夫と妻の別れ
第三章 「子供たちに再会しますように」
──家族の別れと白人たち
第二部 捜 索
第四章 古い綿布に包まれた青いガラス玉
──奴隷制下での家族捜し
第五章 「情報を求む」──奴隷制廃止後の家族捜し
第三部 再 会
第六章 語れぬほどの深い幸福感──家族の再会
エピローグ
「私の家族(マイ・ピープル)捜しを助けてください」
──家族離散の系譜
訳者あとがき
参考文献
註
索引
ヘザー・A・ウィリアムズ[ヘザー エイ ウィリアムズ]
Heather Andrea Williams.
ペンシルヴェニア大学教授。
樋口 映美[ヒグチ ハユミ]
ひぐち はゆみ
専修大学教授(アメリカ社会史、人種関係史)。
著訳書に『アメリカ黒人と北部産業』(単著)、
『奴隷制の記憶』(訳書)、『貧困と怒りのアメリカ南部』(訳書)、
『アメリカ公民権の炎』(訳書)、
『歴史のなかの「アメリカ」』(共編著)、
『流動する<黒人>コミュニティ』(編著)他がある。
内容説明
アメリカの奴隷制下、家族離散を強制された「奴隷」たちが、「人」としていかに悲しみ悩み、それでも生きていかにお互いを求め続けたか、「人の絆」を活き活きと描く。
目次
第1部 離散(「丈夫な少年を売ります」―奴隷とされた子供たちの別れと喪失;「神が合わせし者を何人も別れさせてはならない」―夫と妻の別れ;「子供たちに再会しますように」―家族の別れと白人たち)
第2部 捜索(古い綿布に包まれた青いガラス玉―奴隷制下での家族捜し;「情報を求む」―奴隷制廃止後の家族捜し)
第3部 再会(語れぬほどの深い幸福感―家族の再会)
エピローグ(「私の家族捜しを助けてください」―家族の別れと離散の系譜)
著者等紹介
ウィリアムズ,ヘザー・アンドレア[ウィリアムズ,ヘザーアンドレア] [Williams,Heather Andrea]
ペンシルヴェニア大学アフリカーナ学部教授、Ph.D.(イエール大学)。ジャマイカ出身。ハーヴァード大学Law School修了後、公民権専門の法律家として司法省勤務やニューヨーク州検事補佐勤務を経て、イエール大学大学院に進学し歴史研究者となる。Self‐Taught:African American Education in Slavery and Freedom(2005)ではLillian Smith Book Awardなど受賞
樋口映美[ヒグチハユミ]
専修大学教授(アメリカ社会史、人種関係史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。