内容説明
若くてかわいいだけの女なんて、もう、つまらない―年齢を重ねるごとにエレガンスで知的な魅力が増してゆく「大人の女」論を語る。恋愛、ファッション、マナー、メイクにおける美意識、愛と自由の両立など自由闊達な生き方をつづった。「一人ひとりのちがいの中にこそ、その人だけが持つ美しさや楽しさがある」と説くセツ先生の厳しくも人間愛にあふれるエッセイ集。時代を超えて読み継がれる伝説の名著。
目次
大人の愛・その恋愛作法
男と女・アプローチのテクニック
仕事の本質は愛である
かわい子ファッションからの脱皮
街の中でのエレガント・マナー
美しい肉体へ、チャレンジ
人とのつきあい・その都会的方法
ひとり立ちした女のインテリア
オート・クチュールの美、キモノの美
男らしさ、女らしさの嘘
老いる優しさ、美しさ
著者等紹介
長沢節[ナガサワセツ]
1917年、福島県会津若松市生まれ。99年没。日本のファッション・イラストレーターの草分けであり、デザイン、エッセイ、ファッション評論、映画評論などの分野で多彩な才能を発揮した。「自由で上品な美」を追求する独自の“セツ美学”を貫いた。第一線のクリエイターを輩出する「セツ・モードセミナー」創設者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロミ
56
なんとも刺激的かつ、時代を二歩も三歩も先取りしたセツ先生のフェミニズム哲学満載のエッセイ。男性の方でここまでごりごりのフェミニストってめずらしいです。上野千鶴子先生が解説だったら良かったのに。「男と女はフィフティ・フィフティ」など35年前という(!)男女雇用機会均等法施行前に書かれたエッセイとは思えないほど時代を先取りしたセツ哲学。今の時代でも新しく見えるくらいなので天国のセツ先生は嘆くかもしれない。面白い本でした。2016/09/21
井月 奎(いづき けい)
31
小気味いいほどの極論あり、行き過ぎの西洋かぶれあり、ほんまかいな?ありのエッセイです。絵の上手い人は概して文章が良いのですけれども、長沢節もまたそうです。自分の思いや考え、何よりも審美眼をもとにして人の立ち居振る舞いや生活様式に物申しています。極論は切っ先鋭いナイフとなりくすんだ世の中のしがらみを断ち切りますし、行き過ぎた西洋かぶれは行き過ぎているからこそ、フランスにもイギリスにも存在しないエレガントな街並みが現れるのです。本の中に、読者の心に。騙されたと持って読んでみてください。心地よく騙されますので。2018/02/05
ののまる
13
「あくまでも孤独な一人の人間としての自覚だけが、自分とはいかにも個性の異なった「他人」という存在に対して、初めて喜びを抱くのである」2017/08/26
金曜日のカールスバーグ
12
「若くて可愛いだけの女なんて、もうつまらない」この言葉に同意できる人が今の日本にどれだけいるのか。若者は不自由でみじめで早く大人になりたいと願い、大人は自由を謳歌し見せつける。これこそが成熟した人間世界。タイトルは「大人は美しい」でも良かったのでは。男性にも読んでほしい。自分の主義を持つ人の言葉はまったく色あせない。読中小林秀雄にも通じる人間批評感を垣間見ましたが、同時代だから影響を受けたのでしょうか。考えるヒントでも読み返そうかな。2014/06/29
neppeta
11
イラストレーターの長沢節氏が書いたエッセイ。本書は1980代に書かれたものだと思うがセツさんのリベラルな物の考えが今見ても新しい。そして彼の美しさへの貪欲さが素晴らしい。男性目線でも女性目線でもない美を追及するひたすら純粋さ、これを読むと日本の大人の未成熟さが情けなくなってしまいそう。きっとセツさんが生きてて「女子力」なんて言葉を聞いたら辟易してしまうに違いない。2016/01/30
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