内容説明
そもそも「相撲」って何なんだ?スポーツではなく、いわゆる格闘技ともちがう。力士や親方たちに話を聞き、文献を調べ、歴史をひもとくと、じつはのん気でゆるやかな摩訶不思議な世界だった。
目次
だんだん眠くなる
気がついたらここにいた
大喰らいの秘密
ふつう、す。
待ってもらえる事情
何が何して何とやら
国技館だから「国技」
総おすもうさん計画
戦争でも「待った」
大東亜相撲圏
くたびれない土俵
ないからこその「品格」
意味不明といえども
神の気配
すまう人々
著者等紹介
高橋秀実[タカハシヒデミネ]
1961年、横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。ノンフィクション作家。フリーペーパー『R25』(リクルート)で「結論はまた来週」を好評連載。他、新聞、雑誌等に多数執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
48
これを読んだら、「相撲」を見る目の光がやさしくなるんじゃないか。当方、体格だけは新弟子検査合格圏内。 やっぱり「相撲は、スポーツ」じゃないんだと思った。超越したものなんだと思った。四股名がほんとは、「醜名」だったり、「国技」になった理由もユニークだった。「神話」から「取っているではなく、取らされている」と「呑気」さのルーツを考察するくだりには、ひとり、どよめいた。なんというか、政治的なものと距離を置いたところにあってほしいと思います。あと、「将来は、横綱ですか?」は、嫌がる質問らしいので気をつけます。2019/02/03
したっぱ店員
45
相撲につきまとう「国技」「伝統」「しきたり」「相撲道」などの重厚な言葉。実は歴史をたどると「後付け」「なし崩し」「特に理由はなく」「なんとなく」今に至ることがだんだんわかってきて興味深い。呼び出しさんの普段の(場所のない時期の)仕事とか知らないことばかりで楽しい。文献の引用部分はわりと硬くて意外に(すみません)まじめな1冊。2019/10/23
おさむ
39
星野智幸さんが相撲の名著として紹介してましたが、ホントです。何故?という素朴な疑問を積み重ねていく手法で知られる高橋秀実さんが、相撲のナゾを解き明かそうとするのですが‥‥‥。その多くが伝承や言い伝えで理由などないことがわかります。その象徴が国技。明治42年にたまたま国技館と名付けたのがその始まりなのだとか。戦後はGHQに配慮してスポーツにしたり、土俵の大きさを変えたり、八百長もダメになったり笑。相撲の不祥事は数年に一度おきますが、そんな時はこの本を読めば、良いのではないでしょうか。なんだか納得しますよ。2018/05/15
drago @弘前城ソメイヨシノ満開中。
30
9か月かけて、ようやく読了。読み辛い本だった。 ◆「相撲とは何か?」を突き詰めるために、著者が様々な取材や文献調査を重ねるも、最終解は見つけられず。 ◆相撲は純粋なスポーツ(格闘技)ではなく、神事であり、伝統芸能でもあり、限定的な定義付けは不可能ということだろう。自分が思い描いていたイメージ通りの結論であった。 ◆最後に著者は、相撲の語源は「住まう」ではないか、人間の暮らしに通じているものではないか、と考察している。だから日本人は相撲を好きなのかもしれない。 ☆☆☆2019/02/20
かやは
18
相撲とは何かを綴った本。相撲の知識はほとんど無かったので、こんなにのんきな世界だったのかとびっくりした。明文化されず、先代から語り継がれているものの多いこと。現代社会でもこんなに曖昧な世界が存在してくれることが嬉しい。理屈で言い表せない物は、捉えがたいものであり、捉えがたいものはそれだけで魅力的なのだ。戦時中は戦意高揚のためのパフォーマンスに、戦後のGHQ支配下ではめでたく楽しい行事、とその意義も時代に合わせて変幻自在な相撲。スポーツなのか、神事なのか、この曖昧な世界をこれからはもっと楽しみたい。2015/01/17