内容説明
鎖のように命はつづく。生きとし生けるものたちは誰もがみんなこの世は一度。八十代のいまも現役で活躍中の著者が、さまざまな思いが去来する日々を、ほのぼのとした筆致で綴った随想。
目次
人生の長い旅路
人生の孤独と自由
家族というもの
黒猫“ポー”
生きるためのバネ―幸福な人生を約束するもの
ダルマサンガコロンダ―消え去る時間と積もる時間
この世があの世に見えるとき
物との別れ
家との別れ
思い出は玉手箱?
この世は一度
不老不死の願望
著者等紹介
岡野薫子[オカノカオルコ]
1929年、東京生まれ。1945年、財団法人調布高等女学校(現・田園調布学園)卒業。戦時中を両親の郷里藤枝にて過す。1948年、官立東京農業教育専門学校附設女子部(現・筑波大学)卒業。科学雑誌の編集、科学映画脚本家を経て、坪田譲治に師事、作家となる。『銀色ラッコのなみだ』(実業之日本社)でサンケイ児童出版文化賞・NHK児童文学奨励賞・動物愛護協会賞、『ヤマネコのきょうだい』(実業之日本社)で野間児童文芸推奨賞、『ミドリがひろったふしぎなかさ』(童心社)で講談社出版文化賞(絵本部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
47
著者は1929年生まれで、昨年の一月に亡くなられた。本書の出版は著者81歳の折り。再読である今回は、本書で著者がしきりに触れている、老年になってくると身に沁みる心や身体の変調のことが強く印象づけられる。物忘れのことや身近な勘違いのことなど、ユーモアを交えて綴られることで、自分の現状をしっかり意識させられる。また、「人生の分岐点は多く、どの道を選ぶかは、私たちの自由に任されている。その結果がはっきりと表れてくるのは、長い道程を経た老年期に至ってからである。」とする著者の言葉に、今実感を伴って頷く自分がいる。2023/04/25
tamami
42
書棚から何気なく取りだした一冊。奧付を見ると、著者81歳の時のエッセイ。自身の人生を振り返りながら、それぞれの時点で選び取ってきた岐路とその行く末を語り、老いに向けての身体や心境の変化を綴っている。本には出会いの時があるのだろうか。11年前に買った本書の内容に、なるほどなるほどと現在の筆者自身が納得しながらの読書となった。飼い猫を含めて、「家族」のあり方、身辺に起きる老いの具体的な姿や著者の身近な人間模様が寸言の下に見事に描き出されていて、映像作家としての著者の世界を文章で味わうことにもなった。2021/04/06
ゆうちゃんママ
0
・・・思案中・・2011/07/08
MT
0
現在90代の著者が書いた「人生とは」のエッセイ。今まで出会った人生の先輩たちの言葉を思い出しつつ老年期と付き合っていく生活が綴られる。身体の衰えや考え方の変化やモノ・人との付き合い方など、それぞれの年齢で自分なりの適正はあると思うけど、人生が終盤に差し掛かったと実感したときどのように感じて行動するのかなと少し怖くなった。 生きている時間が長くなれば、著者のように過去の思い出と現在の生活を上手に織り交ぜながら生きられるんだろうか?2023/10/15