内容説明
アメリカの傘下を離れ独自に資源供給ルートを確保する―。七〇年代に宰相・角栄は自ら世界を駆け回って直接交渉する「資源外交」を大々的に展開した。石油ではメジャー支配を振り切ってインドネシアやソ連と交渉し、原子力ではフランス、オーストラリア等と独自に手を結ぼうとした。角栄の失脚はこの資源外交の報復だとも言われている。実際のところどうだったのだろうか。石油メジャーやウラン・カルテルを形成する「資源帝国」とアメリカや欧州各国の思惑、そこを突き破ろうと突進した角栄の資源戦略はいかに展開され、いかに潰えていったのか。日米関係の大幅な組み換えが始まるいまこそ再検証すべき「資源戦争」の全容を詳細に描いた力作。
目次
プロローグ 核廃絶の裏で
第1章 石油の一滴は血の一滴
第2章 総理大臣とアメリカ
第3章 石油、さもなくばウランを
第4章 ジャカルタ「反田中」大暴動の黒幕
第5章 資源帝国の大渦に呑まれる
エピローグ 「持たざる国」の選択
著者等紹介
山岡淳一郎[ヤマオカジュンイチロウ]
1959年、愛媛県松山市生まれ。ノンフィクション作家。近現代の国家、社会を支える基盤構造とそれに関わる人間を描き、さまざまな角度から時代を超えた普遍性の検証を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
5
石油メジャー支配からの自立のため、角栄はエネルギー供給源の多角化を掲げた。供給源の多角化は、インドネシアルートを増やす事、チュメニ油田、北海油田。エネルギーの多角化は、フランスとのウラン提携。このウランを巡る資源外交が本書のメインだ。当時、米国は軽水炉と濃縮ウランで、原子力市場を独占していた。そこへ割って入ったのが、核燃料サイクル政策を掲げたフランスだ。ウラン資源の上流を抑える欧州(ロスチャイルド)と、ウラン濃縮の独占化で世界をコントロールする米国(ロックフェラー)と、その間で翻弄される角栄という構図だ。2014/08/09
takao
0
戦後、いまだ終わらず2016/10/10
takuya
0
☆2つ タイトルに惹かれ購入も失敗。2012/03/28
krmr
0
おもしろかった。書き手のスタンス、筆致に演出色(煽るとまでは言わない)を感じることもあって少し気になったけれど、そこに引っ張られず大きな事実に着目するつもりで受け止める、と。そのつもりで見るという条件付きで、資料として重要な本かも。2011/04/27