出版社内容情報
紀元前四世紀のギリシアといえばソクラテス、プラトンの頃。元遊女でアテネ市民のネアイラとその夫を訴追する裁判があったが、その記録は「弁論書」として残されている。古代ギリシア史の専門家である著者はその「弁論書」を読み解くことで、当時の市民社会の諸相を見事によみがえらせてくれる。売春制度や裁判制度、社会や文化の内実まで、精緻に作られたギリシアの都市国家をエピソード豊かに描いた無類に面白い歴史読み物。
内容説明
紀元前4世紀、ギリシャの都市国家コリントスで、捨て子だったネアイラは、奴隷身分ながら、美貌の遊女となった。身請けされたのち、首尾よく自由身分を得たネアイラは、弁論家ステパノスに見初められ、いっしょにアテナイで暮らしはじめる。それから30年、ステパノスにたびたび告訴されて苦汁を飲まされていた論客アポロドロスは、彼への復讐のために、2人の結婚は違法だと、ネアイラを法廷へと引きずり出した。職業裁判官も弁護士も不在のなか、市民から選ばれた501人の陪審員を前に虚実皮膜の弁舌を振るうアポロドロス。ネアイラは違法な結婚をしたと評決されて再び奴隷身分に突き落とされ、ステパノスは高額の罰金を払うことになるのか。それともアポロドロスが敗訴して罰を受けるのか。たぐいまれな一女性の生涯をたどり、訴訟中毒社会といわれた古代アテナイの日常を再現する。
目次
第1部 遊女として生きる(女将ニカレテの遊女屋;女奴隷ネアイラの所有者とそのほかの愛人たち)
第2部 ステパノスと子供たち(古代アテナイにおける男児と市民権;ステパノス、一家の養い手にして闘う男;パノの最初の結婚;一家の客と既婚の男たち)
第3部 裁判とその前史(私闘;脇役たち;ネアイラの裁判)
著者等紹介
ハメル,デブラ[ハメル,デブラ][Hamel,Debra]
ジョン・ホプキンス大学で西洋古典学(古代ギリシャ・ラテン)を学び(1985‐1989)、学士号を取得。その年にエール大学に移り、1993年に古典語及び古典文学の修士号を、1996年に博士号を取得。学位論文は「アテナイの将軍職:軍事領域における権力の範囲と行使(紀元前501/500年から同322/321年まで)」。1992年以降、エール大学ならびにウェスリーアン大学で非常勤講師、客員助教授として、ギリシャ語、ラテン語、古代史などを担当している
藤川芳朗[フジカワヨシロウ]
1968年、東京都立大学大学院修士課程修了。横浜市立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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momonnga
seer78
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