内容説明
千年もつ瓦で、建物を千年長くもたせたい!法隆寺金堂、東大寺大仏殿、唐招提寺金堂、松本城、姫路城など、多くの国宝・重要文化財の屋根の保存修理にたずさわった奈良の第一級の瓦職人の情熱あふれる痛快な一代記。
目次
第1章 奈良・生駒の屋根屋を継ぐ
第2章 伝統瓦葺きの修業
第3章 恩師・井上新太郎
第4章 瓦職人の会社を設立
第5章 満足のいく瓦を求めて瓦焼きに
第6章 東大寺大仏殿の昭和の大修理
第7章 日本の瓦考
第8章 唐招提寺金堂の鴟尾の復元
第9章 伝統技術の保存と継承
著者等紹介
山本清一[ヤマモトキヨカズ]
昭和7(1932)年、奈良県生まれ。尋常高等小学校卒業後、父親のもとで瓦を葺く職人に。その後、井上新太郎のもとで本瓦葺きの修業をし、二十六歳で独立。法隆寺、東大寺大仏殿の修理や再建の薬師寺、平城宮朱雀門の屋根の復元に従事。現在、唐招提寺金堂の鴟尾の復元、平城宮大極殿の再建に取り組む。平成6年、認定保存技術保持者。平成10年、労働大臣卓越技能者表彰。平成13年、黄綬褒章受章。日本伝統瓦技術保存会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Quijimna
2
博識で有能な聴き手の力によって、伝統を守り受け継いできた瓦職人の口が開き、珠玉のような技能・技法そして古建築への思いや未来への使命感などがほとばしる。文化財に携わる者はもちろん、寺社の美しさの第一は屋根のフォルムと素材感にあると感じる人はぜひ読んで欲しい1冊。★★★★☆2012/01/08
ふっちゃん、男性60歳代(乱読書歴50年)→70歳になった。
1
瓦を葺く屋根屋を一生の仕事と決めて突き進んだ男の物語。親の手伝いをしながら怒られ、泣きながら覚えていった。14歳の時親に弟子入りをして21歳の時には一人で出来る様になった。そして最も瓦の事を知りたいと文化財の瓦専門にしている親方に弟子入りした。文化財の仕事は予算が少なく何時も手出し=赤字になっていたとのこと。一人親方しながら、文化財の仕事もこなした。ただこの人は、瓦職人が何時までもこのままではいかんと会社組織にして職人の待遇改善をして行った。ここ迄瓦職人に打ち込む作者は凄いとしか言えない。 【4.0】 2024/07/23
くまきん
1
実際に自分の手で瓦を葺く職人さんが見た、古代の瓦の技術。学者とはまた違った実務的な視点が面白い。職人の親方にもふた通りのタイプがいるそうで、自分が一から教えてその通りに弟子にやらせるタイプと、お前ならどうする?と考えさせるタイプ。この方は後者の様だ。2017/04/01
Mio
1
瓦をふくということだけでなく、復元すること、伝統技術を継承していくこと、保存していくこと、現場は本当に苦労が沢山あるなぁと感じました。とても貴重な文献の一つともなる本です。もちろん、現場の大工さんにかなうわけはないのですが、大学教授も頑張ってるんですよ〜とそっち側の手伝いをしていた私は弁明したくはありますf^_^;2014/06/06