内容説明
規制緩和や民営化で、格差が拡大することはないのか?構造改革とは、大企業だけが得をするためのルール変更ではないのか?本書は電力という具体的な領域で、米国と英国の規制緩和・民営化がどのようにおこなわれ、なにを巻き起こしたかを検証するものである。その悲惨な失敗と、利害関係者によるプロパガンダの驚くべき実態が、明らかになる。
目次
第1部 戦略の確立―規制緩和以前の米国電力産業(電力公営化を阻止し、利益を隠す―二〇世紀初頭;大規模化するプロパガンダ―両大戦間;公的規制を求める民衆の闘い―第二次大戦まで;プロパガンダで難局を乗り切る―第二次大戦後)
第2部 市場原理主義と強欲―米国の規制緩和(規制緩和へと世論を誘導する;カリフォルニアでの莫大な儲け;連邦政府はなにをしてきたか;エンロンの興隆;エンロンの破綻)
第3部 電力自由化という実験―英国の規制緩和(規制緩和前の電力事情―一九八〇年まで;レトリックに隠された自由化の真の動機;電力自由化がもたらした問題)
第4部 日本の電力自由化(日本の電力自由化の行方)
著者等紹介
ビーダー,シャロン[ビーダー,シャロン][Beder,Sharon]
ニュージーランド生まれ。1978年、大学を卒業して建設省技官をつとめたあと、翌79年、オーストラリアに渡り、各種土木関係の現場で技術者としてはたらく。社会問題にたいする関心が強く、シドニー市下水道システムを例に土木事業における意志決定の諸要因に関する研究で89年PhDを取得。1992年から、シドニーの南方70キロにあるウランゴング大学の社会科学メディア情報学部で教鞭をとり、現在同学部教授
高橋健次[タカハシケンジ]
1937年生まれ。慶応義塾大学英文科卒、出版社勤務を経て翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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